暫く過去のイラストをまとめたような形で、名画の隠し絵の考察をしてきた。
今後また一つ一つの作品を丹念に調べて行く事にする。イラストがある程度まとまったら再度見直したりまとめたりして統括的に意見を言ってみたい。
ラファエロ・サンティ 「燭台のマドンナ」 1513年 ザ・ワルターズ美術館(アメリカ・バルチモア)
今までさんざん聖母子の絵を観て来たので、この絵が不気味で恐ろし気な絵である事にすぐに気付いた。マリアと幼子イエスは、ぱっと見、不自然さは無いが、背後の燭台の火が何か妖怪ウォッチを思わせるようなおかしさだ。画面左右に少年(天使?)の顔が置かれているが、どちらも生気が無く、まるで生首がさらされているようだ。
イエスの左手はマリアの胸の中に突っ込まれ、おっぱいをまさぐっているのだろうか。
どちらの少年も血だらけであるかのように赤い。
向かって左の少年。目がうつろですでに死んでいるのではないか。左目は瞳孔が開いているのか。
右の少年。明るくしてみると、右目が・・・・えぐり取られてはいないか。目の位置から下に血がこぼれているらしい事も分かる。
聖母マリアの少年を見る目、なんて冷たい目なのだろう。遠目では慈愛に満ちた優しい目に見えていても、拡大して見るとこんなだ。
マリアの口。何かを含んでいる。喰っている。両端から出ているのは何か。
唇の真ん中に上から二本の「牙」が見える。蛇の遺伝子が強く残っている事の証拠か。
ダヴィンチの「聖母子と聖アンナ」にも見られた「牙」がここでもはっきりと見えた。
口の端からこぼれた血が顎の所で溜まっているようだ。
幼子イエス。不思議な口の形をしている。
何か大きなものを口に入れているのか。口の周りが真っ赤なのは生肉を喰っているからか。
ひょっとして右の少年の右目を・・・・?
幼子の左手、左足、首の位置がどうも本来あるべき所からずれているように思える。他の聖母子像にある幼児のように、手足、首がバラバラに切られここではくっつけられている状態なのか。マリアが手で懸命に押さえて支えている。「神」が呑み込みやすいように肉を切り刻んであるのか。
マリアの左手には人間が乗せられている。腕に沿って張り付けるように乗っており、皆尻をこちらに向けている。
全体図。
「神」はマリアの後ろにいる。マリアは「神」の目と目の間にいる。「神」は幼児も少年たちも、マリアに張り付いた人間も全て生贄として食する。
マリアの口が血で汚れているのは分かるが、喰われる生贄の幼児や少年たちの口も血の色が付いていて、幼児は生肉を喰っているのはおかしいと思うのだが、名画の隠し絵はそれほど単純ではない。強い物が弱い者を喰い、食物連鎖が起こるのは自然の道理で、それをひたすら名画の隠し絵で繰り返し説明する。冷血な生物である「神」は共食いさえも許容する。