いろんな時代のいろんな画家の作品を観る事で、別の物が新たに見えて来ることがある。今回のセザンヌの作品では、セザンヌがいかに残虐性を持った悪魔的画家かと言う事が再確認できた。
ポール・セザンヌ 「川沿いの田舎家」 1890年 イスラエル美術館
大きな木に挟まれた田舎の家が描かれている。手前の川面にその家と木が映っている。木の茂り方が尋常ではない。家をも包み込みそうなくらいに茂っている。夕日か朝日かを浴びているのか絵全体がオレンジ色がかっている。僕はこの絵を見た時何か不気味な物を感じた。
左が元絵。右が僕の眼に見えた画像のイラスト。画面左で大きな化け物が振り向いている。その右腕は肩から千切れて無くなっている。右目から蛇が飛び出し、口には小さな人間を咥えている。画面右では大きな蛇が赤ん坊を頭から咥えて持ち上げている。赤ん坊の下半身は下からまた横から噛みつく蛇に喰われて無くなっている。ホラー映画のワンシーンの様だが以下検証してみる。
左の振り向く化け物の所は、大蛇が人間を襲って食う場面である。蛇は大小さまざまで折り重なって高く積み上がり、人間を咥えて空中に持ち上げている。上の部分図の左下にも大蛇が人間を咥えている。赤い屋根の家も人間の身体の積み重ねになっている。
ひどく直接的な残酷な絵である。ブリューゲルの時代よりもこの印象派時代の方が、見る人間を怖がらせる要素が多くなっている気がする。
画面右上の赤ん坊に見えた部分。細かく見ると別の人間が多く見つかり、大小の蛇に襲われている。人間の身体は同時に蛇の頭にも見えるように描かれていて、人間の身体だけで画面を埋め尽くすようにも捉えられるし、全て蛇で表されているようにも見える。「蛇が人間を喰う」と思ってイラスト化するとこんな風になった。
画面左下、川面の部分。巨大な蛇が人間たちをまとめて口の中に入れようとしている。そのギザギザの歯で人間を容易にかみ砕きそうである。田舎家の水面に映った辺りにも人間がいるが、性行為をしているようである。また左の尻をこちらに向けた人間は子供を出産しているらしい。尻の辺りに子供の眼鼻・頭の輪郭が見える。
巨大な蛇どもは人間より遥かに長い寿命を持っているのかもしれない。高々100年足らずの人間を見るにつけ、その誕生・生殖行為・出産・死など一瞬の間に行われている物との認識なのかもしれない。いわば人間がカゲロウ等の昆虫を見る時のように思っているのか、すべて同時に一つの画面に描き込まれている。
画面下方右寄りの、赤ん坊を下から喰い千切る大蛇に見えた部分。大蛇は2匹以上に見えるが、その口元にはやはり人間たちが大勢捕まって喰われている。ただこの人間たちはセックスしながら、出産しながら喰われている。
部分的に見た物を繋げて全体図にした。人間たちが上から下からあらゆる方向から大蛇どもに襲われ喰れている。
上図左、巨大蛇を観点に別の見方をしてみるとこうなる。右方で上半身だけになった赤ん坊が咥えられ、持ち上げられているのは最初眼に入った画像と変わらない。左は巨大な蛇が人間を二人ほどまとめて口の中に入れて持ち上げている図である。その下でも大蛇が後ろ向きの人間を咥えている。こう言う直接的な残酷な表現が見られるのは珍しい。セザンヌの性質がもともと残虐なのか、この世界に恨みを持つようになってこんな絵を描くようになったのか。
上図右、人間の繁殖、セックス・出産の観点から見たイラスト。後背位での性交図がたくさん見つけられた。男を青、女を赤で表そうとしたのだが、所々どちらか判別できない人間がいる。両性具有の巨人族かもしれない。女の背後から性交する男と思えたが、その男の尻から子供が出産されている。画面右の中ほどに男性器が3本ほど見られる。これがどの体に付属しているのか判別できなかった。
またこんな絵にも見えた。例によって大開脚・出産の図。両足を上げて足裏をこちらに見せている。青いのが這い出す赤ん坊である。