この絵など、見た事が無い人はいないのではないか。フランス国旗を高く掲げて革命軍を導く女神の姿が描かれている。
しかしこの絵にもおかしな点、驚くべき不可思議な点が隠されている。その事に気付く人はいないようだ。
ウジェーヌ・ドラクロワ 「民衆を導く自由の女神」 1830年 ルーブル美術館
暗くして絵をごまかしてあるので、明るくする。
女神は神話上の存在。象徴として描かれているのだろう。実際には胸もあらわにしたこんな女が人々の前に姿を表したのではない。
紳士たちや労働者たちが銃を手にし、剣を持ち、手前に横たわる犠牲者を乗り越えて進む様子が描かれる。子供でさえ拳銃を振りかざして参加している。
背後に火災が起こっているのか、白い煙が立っていて、女神の姿を際立たせる。ドラクロワはこんな劇的、動的な絵を描くのが得意だ。
左手にマスケット銃、右手に国旗を持つフランス国家を代表するマリアンヌの姿。その国歌「ラ・マルセイエーズ」を思い起こさせる。頭にかぶるフリギア帽は自由を表し、むき出しの乳房は国家の母性を表すとされる。
フランス国歌は日本などと違い、戦闘的だ。
自由の女神の顔。こうして拡大して見ると、目を剥いて民衆を見下しているのが分かる。口の中にも何か赤い物を含んでいて、その赤い血は顎の下まで流れている。
259センチ×325センチの作品で、ルーブル美術館で観る人は女神をこれほど拡大して見る事は無いだろうから気付けない。しかも背後の明るい白とのコントラストの為、この目や口は見えないだろう。
女神の目の先には、おびえたような紳士とたじろぐ労働者。革命に向かって進む人の表情とは思えない。
二人の間に鋭い目つきをした男がいる。バグパイプを咥えているらしい。必要な人物なのか。絵の主題に関して何か意味を持たせているのか。
女神の全身をイラスト化してみた。腰から下に、人間の形がいくつか見て取れる。この地位sな人間たちは、女神が「神」に捧げる生贄だと思う。右の少年の足にも同じような小さな人間がくっ付いている。
この女神たちは「神」の為に人間を集めて食糧として捧げる作業をしているらしい。
全体図。
女神の背後に巨大な「神」の姿がある。地面に転がっている人間や、女神が腰に付けた人間を口に入れているようだ。
女神自身はその上半身を巨大な「神」の頭の上に置き、共に人間を食している。
「神」の姿はこんな風にも見えた。右から来る爬虫類神と左から来る爬虫類神。また違った「神」の姿を見る人もいるだろう。いろんな見方が出来るようになっている。
革命の混乱期、戦争中などは人間を狩り集めるのにちょうどよい時期だろう。