僕は「神」の姿が蛇の形をしていると言っているのだが、その証拠が絵の中に隠されている。その顕著な例をいくつか挙げてみよう。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 「洗礼者聖ヨハネ」 1514年頃 ルーブル美術館
右手で上を差し、そこには十字架がある。だから「神」は天に存在して人間の行いを全て天から見ていると言っているようでもあるし、「神」の言う事に従いなさいと言っているようでもある。
しかしどうもこの顔、変ににやけてとても聖人には見えない。
画面を極力明るくしてみると、毛皮の衣服がこんな風に見える。大蛇を身体に巻き付けている。右手の後ろには上から降りて来た巨大な蛇の頭がある。これが「神」の姿だ。ヨハネは馬に餌を与えるように巨大蛇に餌を与えている。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 「東方三博士の礼拝」 1480~81年 ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
この絵は未完成と言われるが僕はそう思わない。画面全体が血の色で染まった感じは作者の意図だと思う。
聖母マリアの後ろには、とぐろを巻く巨大な蛇がいる。こいつが集まった人の肉を片っ端から喰っているので、辺りが血だらけになっているのだ。
エドガー・ドガ 「赤い衣装の三人の踊り子」 1896年 大原美術館
ドガの描く三人の踊り子の周りには、不思議な舞台装置があり、何が何やら判別できない。
僕にはこんな風に見える。ここでは画面の外にはみ出る部分をもイラストにしてみた。巨大な青い蛇が踊り子たちや別の人間たちを胴体に巻き付け、口に入れている。(別の見方をする人もいるだろうが)
パウロ・ヴェロネーゼ 「昇天」 1585年 カピトリーノ美術館(ローマ)
イエス・キリストの後ろに広がる空の表現が蛇っぽい。
広がる空間の凹凸を逆に見れば、蛇の頭に見えないだろうか。子供の頭部だけが浮いているケルビムは一つ一つがその蛇の鱗である。この大蛇は下にいる天使や人間を口に入れている。
ピエール・オーギュスト・ルノワール 「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」 1880年 ピュールレ・コレクション(スイス・チューリッヒ)
背景は葉っぱの生い茂った樹だろうか。その中に蛇の形を見つけた。
少女の後頭部の後ろに、デカい蛇(頭が人の頭と同じくらい)がいる。その口には小さな人間が咥えられている。こいつの胴体がどうなっているのかよく分からないが、少女の顔の前まで回っているのだとすれば、その膨らんだ胴体の中に何かが入っている。恐らくこの少女の下半身が呑み込まれている事を示唆しているのだろう。蛇の胴体は透けて人の尻から下の形を見せている。
蛇の身体を持った生命体は、普段自分の目より前しか自覚していない。だから大抵の絵には頭が大きく描かれる。ニョロニョロした胴体はなかなか見られない。しかしたまにそれを見せる事がある。
その身体は頭の幅さえあればどんな小さな穴でも出入りできる効率の良さを持っている。うろこでおおわれた丈夫な身体を持ち、低温でも耐えられるように出来ている。食物摂取はほとんど丸のみで、胃に送り込んで長い時間を掛けて消化する。ジメジメした水気の多い所でじっとして動かなければ体力を消耗する事もない。人間よりもずっと生命力のある生き物だ。その上目に力があり、人にらみでカエル同様人間でも催眠状態に出来るのかもしれない。
人間よりも遥かに大きいのでは向かって戦おうとしても勝負にならない。人間よりも知能が上らしい。一度それに出会った人間は喰われて生きて無いので、言い伝えが出来にくい。
ただ冷血動物である事が唯一の弱点かもしれない。