名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

ベラスケス 「アラクネの寓話」 生贄の祭壇

ベラスケスの、「ラス・メニーナス」と並び称される名作と言われるが、損傷・修復が著しいためか有名では無いかもしれない。僕も今回初めて見た。

長い間「織女たち」とされていたが、近年ギリシア神話の「アラクネの寓話」を絵にした物である事が分かったらしい。

ディエゴ・ベラスケス 「アラクネの寓話(織女たち)」 1657年 プラド美術館

暗いので明るく変換する。

アラクネは織物に巧みで、女神ミネルヴァに競い合いを望んだ。老女に化けたミネルヴァは受けて立つが、人のくせにおごり高ぶるアラクネが許せず、彼女を蜘蛛に変えてしまう。画面右側の若い女がアラクネ、左の老婆がミネルヴァ。中央奥にタペストリーが掛けられているが、これに描かれた絵が事後の、蜘蛛に変えられるアラクネだと言う。

木綿を糸にして玉にしているらしい。戦いが始まったばかりの時を描いている。

彼女が手に持っている糸玉、何か変だ。蛇の頭のようでもあるし、小さい人が丸まっているようでもある。乳房が大きいのだが、これだけ服の色、質感が変わっていて体の一部では無いようだ。これも大蛇の頭に見える。手に持った人間を乳房の大蛇と、もう一匹肩から下りる大蛇が狙っているように見える。

あとアラクネの口から何かが飛び出ている。これは手伝いをしている侍女の口も同様で、やはり何かが飛び出ている。二人とも肉片(カルビ肉のような)を喰っているのではないか。

女神ミネルヴァが変身した老婆。整った美しい顔をしているが、やはり口から何かが出ている。目を合わせている侍女の方の口は良く見えない。

壁に掛けられたタペストリー。Wikipediaの説明では、ミネルヴァが柘植の木でもってアラクネを蜘蛛に変える場面だとされるが、よく分からない。何処に蜘蛛がいるのか。手を胸に当てたアラクネのスカート部分に分からない茶色い表現があるがそれか。変化の初期段階なのか。

それよりもこのタペストリーの背景部分に、巨大爬虫類の顔が見える。アラクネを口の中に入れようとしている。

画面中央、絵の中心に近い部分の地面に「猫」が描かれている。糸玉にじゃれつくわけでもなく、落ち着き払っていて不自然だ。何の意味があるのか。

良く見るとどうも「猫」ではない。小さい人間の形が寄せ集まってそれらしく見えているだけだ。「猫」の尻尾の辺りは、赤黒く、まるで血ぬられた人肉が転がっているかのようだ。横たわった人間の足がそこにあるのか。

地面に転がっている木綿の玉。人間の頭蓋骨にも見えるし、小さな人間の後ろ姿にも見える。この右奥に転がっているのは、人間の手の骨ではないか。

地面にあるのは上の巨人族たち4人が喰った人間の骨か。或いは空から降りて来る「神」への生贄となった人間の喰い残しか。

この絵も「生贄の祭壇」が描かれている。

アラクネの手の上で何者かに喰われる小さい人間。アラクネの肩の上にも別の人間や手が乗っかっている。彼女も背後の「神」に生贄を与える補助者(巫女)でもある。

全体図で見ると、画面いっぱいに巨大な爬虫類(神)の顔が描かれているのが分かる。そいつはミネルヴァの足元、アラクネの尻の下にいる生贄の人間を喰いに来たに違いない(はっきりした人間の姿は見えにくいが…)。

生贄の祭壇に乗せられて神の食糧となる、これが人間の宿命なのか。