名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

ミケランジェロ 「大洪水」 神による人口削減策の一つ

 

この絵は「ノアの箱舟(方舟)」を描いた物だとばかり思っていた。システィーナ礼拝堂天井画の「ノアの燔祭」と「ノアの泥酔」の間にあるから誰しもがそう思うのではないか。しかし画題は「大洪水」である。箱舟は描かれていない。

ノアの箱舟に乗れなかった人々が描かれている。「原罪と楽園追放」の時と同じように、一画面の中に時間の異なる出来事が同時に描かれている。

①画面中央上、洪水の為ほとんど沈んだ建物の天辺で取り残された人々が争って逃げようとしている。右端のひとは斧のような物を振りかざして、殺し合いをしているのだろうか。

②画面中央、小さな丸い船の乗ろうとこれも争っている。船はもう沈みかけている。

③画面向かって右、岩山の頂上だろうか木と布でテントを作って避難した人々。他人を抱き上げて運び込む人がいて、それを迎える男女もいる。テントの奥は暗く、将来の無い事を物語っているかのようだ。

④画面中央下、わずかに残った陸地に登ってくる人々。子供やら家財道具やら友人やらを運び込んでいる。

⑤画面左下、人物が一番大きく描かれた部分。乾いた陸地にはまだ木が残されている。そこにやっとの思いでたどり着いた老若男女のほっとした様子が描かれている。ただ、着の身着のまま逃げて来ただけなので希望は無い。

ここにいる人々は「ノアの箱舟」に乗れなかった人々=神によって滅ぼされる人々らしい。

一見して中央上の木製の箱型建物が「箱舟」の上部と勘違いしてしまうが、そうでは無い。ノアの家族が中心になって描かれた絵では無いし、「箱舟」からひとつがいずつ選ばれた動物たちが降りて来る様子も無い。建物の上部に白い鳩のような物やカラスのような物がぼんやり見えるようでもあるが「箱舟」では無い。

この絵の左右にはこんな三角枠の絵がある。

そこだけ拡大して並べてみるとこうである。どちらの絵も人間の子供を何処からかさらって来て食べている図にも見えるが、暗い雰囲気の物で、病気の子供を看取る父母の様子にも見える。

世紀末には、異常気象による洪水や戦争・病気による災害が重ねて起こると言うがそれを思ってしまう。

命からがら逃げ延びた人々。子供たちは笑っているが大人たちは真剣である。神に選ばれずに滅びるべき事を知っているのか。左端のロバに似た生き物も虚ろな目をしている。

残されたわずかな陸地に這い上る人々。

逃げ延びた人々も結局は上から迫る巨大な蛇神に喰われる運命にある。

岩山の傍らで他人を助けると言う善行をしても、友を助けても結局は巨大蛇の餌となる。

沈みかけた小舟で争っても、狭くなった建物の頂上で殺し合っても救われない。神によって滅ぼされるのだ。

巨大蛇神が見えて来にくい絵だった。手前の陸地に生贄の人体が転がっているようだがよく見えない。一部剝落しているし、修復が正しくないせいかもしれない。

画面のあちこちに不可思議な、現在には存在してない様な異形の生物がいるように思える。「大洪水」で選別され、生き残れなかった生物がここにはいるのではないか。

「洪水」は「ノアの洪水」だけではない。何回もあったはずである。その度に異形の生物(実験的に創られた、エジプト壁画に有るようなワニ人間やイヌ人間等)が滅んで来たのではないか。

あちこちに布に包まれた物が見える。白い布・青い布に包まれているのは生贄の小さい人間かもしれない。神の怒りをこれで鎮めようとしたのかもしれない。

神は人間を増やすようにいつも命じている。しかし増えすぎて制御できないくらいになると「人口の削減」を試みるようだ。方法はこんな「大洪水」等の天災の他に、病気・戦争がある。今現在は「人口削減」期に入っているのかもしれない。

この絵では災害にあって他人を殺す人も他人を助ける人も、区別なく滅ぼしている。彼らから見れば人間など所詮そんなちっぽけな、価値の無い存在なのだ。