ダヴィンチが善なる者か悪なる者かを知りたい。
以前見た絵を再び検証してみた。
レオナルド・ダ・ビンチ 「東方三博士の礼拝」 1481年 ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
この絵は未完成だと言われているが、「聖ヒエロニムス」同様に僕は未完成だとは思っていない。作者が意図的に全体的に赤っぽい色彩で残した物だと思う。
イエスを産んだばかりの聖母を訪ねて三人の博士が遠くから来ている。博士たちが三方向からイエスを拝んでいる。近隣の人々も見物に来ている。
以前見た時はこんな隠し絵が見えた。マリアは蛇の化身であり、その胴体が大蛇になってとぐろを巻いている。
もう少し詳しく見て行こう。
聖母マリア、遠目には若く優し気な母親に見える。
しかし拡大してみるとどうも違う。目には白い部分が無く赤っぽい。髪は蛇の様で口に何かを咥えているのが見える。イラストのように見える。
イエスは手足と胴体が繋がっているようには見えない。首の位置も少しずれていて首周りに血が付いているように見える。これはイエスではなく、神の食糧としての幼児であろう。いずれ手足をバラバラにして喰われることを示している。
マリアの身体全体は人間の身体を数体積み重ねた形で表されている。
画面最下段の地面の所をコントラストを強めてみると、赤い血の色が浮き上がる。特に右側の博士の足元は真っ赤である。
画面全体を地獄のような真っ赤な血の色で表現したい為にあえて赤一色で未完成っぽく仕上げたのだ。
その博士の身体を詳細に見ると、大小の人間の積み重ねが見えて来る。
左側に土下座する博士もまた大小の人間で組み立てられている。
画面全体を見ると空から来る巨大蛇やとぐろを巻く大蛇、隠し絵の人間が見えて来た。
画面最下段は例によって生贄となる人間が多く並んでいる。
画面右端の外側を向く人物、画面左端の僧侶っぽい人物は、それぞれ手に自分と同じくらいの大きさの人間を持っている。神に捧げる生贄の人間をどこかから調達してきたのだろう。
上空から来る巨大蛇、とぐろを巻く大蛇、生贄となる人間たちを見やすくして見た。マリアと左端右端に立つ人物はこの蛇たちの協力者である。
大きく見るとこんな風にも見える。マリアを鼻先に乗せた巨大蛇神が右上方・左上方から来ているのが見える。画面下端の人間を喰っている。
他にも巨大蛇神の隠し絵がいくつかあるようで、画面全体に渡って一匹の頭が見えたりする。ダヴィンチの絵はそれらが複雑に絡み合って判別しにくい。
左中央の群像部分や右中央の群像部分には様々な隠し絵が複数重ね合わさっており、他にも見え方がありそうである(近代絵画を思わせる描き方で、こう言った不明確な描き方の部分には複数の隠し絵があるようだ)。
なかなか見えて来なかったがやっと見つけた。観る者の欲望を刺激して繁殖活動を促す隠し絵である。女の背後から男が覆いかぶさり性行為をしている。男女とも尻から子供を産んでいる。
三博士はこの隠し絵において生まれ出る子供である。画面左側の(イラストでは)青い人が土下座の博士を産んでいる。この青い人は後ろ向きで足の裏をこちらに見せている。緑色の人は排便スタイルでマリアを産み落としている。赤い人は右の拝む博士を産んでいる。この人の脇の下からもう一人の博士が産まれている。(或いはこの博士は別の隠し絵の人の尻からうまく生まれているのかもしれないが複雑すぎて僕には見つけられない。)
ダヴィンチの絵は他の画家と比べて隠し絵がより複雑である。そんな中で他の画家と違う善なるものが発見できると思われたが、どうもはっきりしない。近代の例えば印象派の画家たちのような残酷な表現は見られないようだ。
この絵の中で気になる部分はここである。マリアの背後の木の陰で天を指さす人物。この左右の男女は大蛇に襲われているが、それを見つめながら人差し指を上に向けている。これは、死後の世界(天国)に救いを求めなさいとでも言っているようにも見える。蛇神の餌として地獄のような地上で肉体が無くなっても天上に救いがあると言っているのか。これは魂の救世主の姿なのか。