我が国の国宝指定第一号と言われる広隆寺の弥勒菩薩像を調べた。
木造弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)(半跏思惟像) 7世紀 京都市左京区太秦広隆寺蔵 アカマツ材一木造
一見して感じられるのは、体が細い・頭がデカい・身体がいやにくねっている事と、右手は何のサインだか分からない事・台座が変な形である事等だ。台座の模様が蛇の鱗っぽいのも気になった。
髪の毛が蛇の頭である事を発見。上図五枚の写真は色々な角度から見た頭だが、耳の真上あたりに蛇の目が微かに見られる。右も左もである。上図中央下にイラスト化した。人の頭をぱっくり咥えている蛇、よく見ると牙も見える(左端の写真)。ロダンの「考える人」同様の表現方法だ。さらに見ると宝冠自体も大口を開けた蛇であるらしい。人の頭に齧り付いている蛇をさらに別の蛇が齧っている形だ。両耳も小蛇で形作られている様だ。
手を見てみると、右手の指が異常に長い。薬指と親指をくっつける形で、人差し指と中指を揃えて小指と共に立てているのだが、人間の指はこんなに長くない。実際にこの指の形を自分でしてみると薬指はどうしても第二関節で直角に曲がり、この様な曲線状にはならない。(もっともこの薬指は1960年に学生によって折られたのを修復した物なので、造られた当時のままかどうかは分からない)
真如苑の「大日如来坐像」の右手人差し指には蛇の目があったが、この像の指先に蛇の目があるかどうかははっきりとは分からない。
左手(上図右端・元の写真に明るい〇印が付けられていた)は、手の甲がいやに平べったい。手の甲が窪んでいるようだ。それと左手下腕の蛇の鱗状の模様はどうだ。木材の上に施した金箔が剥げてこんな模様が出るのだろうか。下腕の側面に蛇の目が見てとれる。瞳が縦線になっている(上図右下イラスト)。
肩の辺りも蛇の頭が喰い付いているかもしれない。この像も全身が蛇で出来ているのだと思うのだがこれ以上の詳細写真がない。
これはやはり蛇の像である。
半人半蛇の蛇人が人間の形を作りながらとぐろを巻いている。
上図左三点はレプリカ像の写真らしいが後姿が良く見える。人の形は腰の下あたりで右にひねられ蛇の胴体になる。その胴体は前に向かい右足を造っている。右足の太ももが変に窪んでいるのは蛇身だからだ(上図右から二番目・分かりにくいかもしれないが)。尻から前方に直角には曲がれない。右足を造った後は足先で後ろに向かい左尻を造る。そして曲がって前の左足を形作ってまた尻の下に行き、後はとぐろを五回ほど巻きながら腰掛と台座になる。手先・足先・宝冠等細かい所は小蛇が付いて造る。
半人半蛇の画像はルネサンス期の画家による物で知ったが、それより800年も前の日本の美術品にあった。