名画の中の人喰い蛇

美術館にある名画には蛇の隠し絵がある。その蛇は人間を喰っている。

フェルメール 「窓辺で手紙を読む女」 修復しない方が良かった

フェルメールのこの絵、修復が完了し一般公開されたそうだ。今まで白かった壁の中にキューピットの絵が浮かび上がったと言う。最新の分析によると白く塗りつぶしたのは作者とは別人の手によるものと見られる・・・・と新聞記事は言っている。果たして本当にそうなのか。作者自身が塗りつぶしたのではないのか。

f:id:curlchigasaki:20211225170144j:plain

ヨハネス・フェルメール 「窓辺で手紙を読む女」 1659年頃 ドレスデン・アルテ・マイスター絵画館

フェルメールらしい空気感、部屋の中の静かな様子、窓から差し込む柔らかな光が感じられて好ましい絵である。わざわざ窓際に行って手紙をよく見えるようにしている事から、この女性にとってよほど大事な手紙なのだろう。キューピットがいるから恋文だと鑑賞者に思わせたいのか。

f:id:curlchigasaki:20211225170200j:plain

手前のカーテンをキューピットが手で開けているようにも見える。彼女の心の中を覗いてみる形で絵になっている。キューピットは愛の矢を放つわけではなく、弓も矢も下ろしてしまっている。足元の仮面とざるのようなものが何を意味するのかは分からない。

f:id:curlchigasaki:20211225170214j:plain

左の修復前の写真と並べて見比べると、修復前の方が絵としてすっきりとしている。右の修復後の写真だと何だか情報量が多すぎてごちゃごちゃしている感じがする。

f:id:curlchigasaki:20211225170228j:plain

窓ガラスに映った彼女の顔は暗い。四谷怪談のお岩さんを思わせるような不気味さもある。肩に小さな人間の足のようなものが乗っている。頭の上の方が何者かによって齧られている感じになっている。ガラスに映った方で無い実物の彼女も、よく見ると口からうっすらと何かを出しているようにも見える。

この絵の描かれた17世紀中頃と言うのは英蘭戦争の真っ最中であり、ひょっとして彼女は恋人の戦死の知らせを受け取ったのではないか。だとすればこの暗い表情も頷ける。また彼女の背後の壁が白い方がふさわしい。頭の中が真っ白になった事を表すのにはその方が良い。作者はそれに気付いて作品を仕上げる段階になってから、または完成後に壁を白く塗りつぶしたのではないか。作者以外の別人が塗りつぶしたと言うのは違うと思う。修復師は余計なことをしてしまったのではないか。

f:id:curlchigasaki:20211225170243j:plain

テーブルの上の果物皿は倒れ、テーブルクロスはくしゃくしゃである。この辺に手紙を読む彼女の心の中が垣間見れる。お腹には戦死した彼の子が・・・・彼女のお腹が少し膨らんでいるようにも見えて来た。

f:id:curlchigasaki:20211225170256j:plain

絵の中の物語がどうであれ、作者が絵の中に隠し込んだものはまた別の主題である。

このくしゃくしゃのテーブルクロス、僕には大蛇に見える。人間を体の中に摂り込んだ大蛇であり、その腹の中に人間が入っているのが分かる。果物皿の手前の部分など蛇の胴体の模様がそっくりそのまま写し取られて生々しい。

f:id:curlchigasaki:20211225170307j:plain

そして前回ドガの絵でも見えた、逆さ吊りにされた貯蔵用の人間。それがこの絵に描かれている。下端に人間の頭がゴロゴロと転がっている。やはり牛や鶏のように首を切って逆さに吊るし、血抜きをするのだろうか。

どこかで聞いた話だが、倭の国が朝鮮に攻め込んだ時、朝鮮の船の側面に日本人の遺体を並べて吊るしてあったと言う。捕虜を殺し、日干しにして食糧にすると言う事があったとか。ヨーロッパでも英蘭戦争はもっぱら船同士の戦争だったらしいから違いは無いだろう。彼女の恋人の姿がここに描かれているのか。

f:id:curlchigasaki:20211225170321j:plain

ヨハネス・フェルメール 「真珠の耳飾りの少女」 1665年頃 マウリッツハイス美術館(オランダ・ハーグ)

フェルメールで最も好かれる絵だと思う。しかしこの絵も同じような隠し絵が出て来る。

f:id:curlchigasaki:20211225170336j:plain

少女の頭部のターバンを縦方向に縮めるとこんな隠し絵が出て来る。上方にいる大蛇に頭を咥えられる人間たちである。数人が束になって咥えられている。

この絵程有名な絵は無いと思うのだが、少女のターバンに喰われる人間の姿が表現されている事に気付いたのは僕一人だけらしい。一度気付けばもうそれにしか見えない。歩きながら頭を齧られているような裸の人間が、こんなにはっきりと描き表されている。