名画の中の人喰い蛇

美術館にある名画には蛇の隠し絵がある。その蛇は人間を喰っている。

ロダン 「接吻」 冷血な人食い爬虫類に打ち勝つのは「愛」

前立腺がん生検の結果、がんは発見されなかった。・・・・と言う事で今少し時間が与えられた。親兄弟の享年を考え合わせれば、僕の場合寿命が来るまであと十年くらい生きられると思っている。

この世を支配している蛇型生命体の中には、人間に対し同情的な者もいるらしく、その一人が手塚治虫だと思っているのだが、もう一人ロダンはどうだろう。

ロダンに関しては僕は高校時代に傾倒し、「ロダンの言葉抄」と言う本を絶えず鞄の中に入れていた時期があった。その作品には美しい身体・青春の愛と苦悩・情熱と言った物が感じられる。この人の作品にも「蛇が人間を喰う」と言った表現がされているのか。彫刻なので名画から外れて色や陰影を捉えにくいし、立体を全方向から捉えるだけの多くの写真が手に入らない事もやりにくい要因となっている。次の作品は比較的多くの高画質写真が見つかった。

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オーギュスト・ロダン 「接吻(キス)」 1898年 ロダン美術館(フランス・パリ)大理石像 高さ183.6cm

美しい肉体を持った若い男女の情熱的なキス。ダンテの「神曲」の登場人物を表していると言い、初め「地獄の門」の一部であったが不評なので独立させたと言われる。作者はこの作品について「愛は生命の花です。」とコメントしている。

鑑賞者はこの作品の前に立つ時、思わず見惚れ、時間が経つのを忘れてしまうだろう。二人の肉体の美しさだけではなく、女が男の左足の上に体を預け、左手を男の首に回し、男の唇に吸い付くような形で顔を傾ける。男はそれに答え、右手を彼女の腰に優しくそっと添える。

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こちらは1882年~87年、高さ87cmの青銅製作品。国立西洋美術館にある。

野外展示なので壁に影が映っていてそれが面白い。上の写真、向かって左側の壁に、何やら大口を開けた爬虫類の横顔があるように見える。まるで二人を喰おうとしているかのようである。

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ロダン美術館の大理石像に戻る。

台座に注目した。以前このブログで「考える人」を調べたが、その台座はただの石の塊ではなく、台座自体が大蛇の頭になっていた。この作品でも同じ事が言える。

男の左手の下方に大蛇の眼らしき丸い形が見えないだろうか。その大蛇は口を大きく開けて二人の四本の足を口の中に入れている。

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台座の部分のみを見ていただきたい。上に向かって大きな口を開けている大きな蛇の頭が見えて来ないだろうか。頭の大きさが直径1メートルくらいある。

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イラスト化するとこうなる。人間を喰おうとしている巨大な蛇であろう。

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次に目に付いたのが二人の顔。上図左が大理石像の物。右がテラコッタの小さな試作品。男の目はぱっちりと開かれている。甘い、情熱的なキスをする男には到底見えない。右の土で作った物の方がよりはっきりと見える。ここまで女をガン見しながらするものだろうか。目は閉じていた方が鑑賞者も安心してロマンティックな気持ちになれると思うのだが。

二人の髪の毛の形も不自然な凸凹があって怪しい。

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テラコッタ像の方をイラスト化しながらよく見てみた。じっと見続けるとちょっとした凹凸で大蛇とそれに喰われる人間が表現されているのが見えた。女の後ろ髪は「ミロのヴィーナス」同様に蛇とそれに喰われる人間で形作られているのが見えたし、男の頭も大蛇に後ろから襲い掛かられた人間たちが表されているようだ。女の左腕も蛇の胴体っぽく丸みを帯びている。

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二人の唇が重なるあたり、粘土の塊が雑に付けられて曖昧だが、男が口を尖らせているのではなく、小さな人間を咥えているのではないか。

二人して小さな人間を奪い合うようにして食しているのではないか。

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男が左手で押さえているのは何だろうか。楕円形の形の板切れ? タオル? ここは分からない。捕まえて来た人間の可能性もあるが、どうだろう。

女の右手は曲げられて手先は男の心臓の位置あたりにある。タオルを当てているのか?  小さな人間を持っているのか? はたまた男の心臓をえぐっているのか。

男の左手は下碗で楕円形の板状の物を支え、手先には力が無い。

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男の手先は右手左手共に力が抜けている。積極的な女のキスにたじろぐかのようだ。もしくは口元の食糧を女に奪われないようにしているからかもしれない。

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全体で見ると、二人の身体は蛇とそれに喰われる小さな人間で組み立てられているらしい事が見えて来た。これは以前見た「サモトラケのニケ」のように、大蛇が絡み合って出来上がった像かもしれない(まだはっきりとは見えてないが)。

台座は巨大蛇の頭を表すだけでなく、生贄の人間たちの身体が山積みになって出来上がっているらしい。細かい凹凸を線で辿ってみたらこんなイラストになった。

この像も他の名画同様、「巨大蛇が人間を食糧にしている」事を説明している。

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ただそれだけでは無い気がする。この像の場合、人間にとって残酷な真実を説明するだけではなく、彼ら蛇型生命体に向かって抵抗する姿をも表しているように思える。

二人の男女は巨大な蛇に足から呑み込まれようとしているが、二人の四本の足を突っ張らせて呑まれないように抵抗しているようにも見えるからだ。人間が冷血動物の彼らに打ち勝てるただ一つの物は「愛」・「愛情」・「同情」と言った感情だけだとこの像は言っている可能性もある。