宇佐美圭司のえげつない食人図を見ていたら、モネの睡蓮を思い出した。以前調べた時この絵にもひどく凄惨な食人図が見られたが、今回見つけた別の作品にも同様な表現がある事が分かった。
モネ 睡蓮 1906年 シカゴ美術館蔵
画面中ほど、右寄りの睡蓮が集まった部分である(上から三つ目の塊)。ここに人間を食べている真っ最中の蛇どもが描かれている。イラストで黄色くしたところが人間の顔・その他体の部分と思える。それを緑の蛇・青い蛇・白い蛇が集まって我先にと貪り食っている。割とはっきり見えるのは髪の毛の長い女性二~三人である。
画面最上部の睡蓮の塊(厳密に言うとさらに小さな塊がこの上に二つほどあるのだが、大雑把に見て最上部)、向かって左端で人間が喰われている。緑の蛇が青年二人を喰っている。モネは遠景でこんなはっきりした絵を描く。
上の図は画面の最上部、左寄りの部分。大きな蛇どもが青年のいる場所に向かって近づいてくる。
下の図は画面最下段。白い蛇どもが右の方に向かって泳いでくる。大小三つずつくらいの人間の頭が浮かんでいるのをこれからむさぼり喰いに行く所だろうか。
睡蓮の塊は、下から順に生贄の人間の喰われ方を時間の経過と共に表しているようにも見える。
人間を喰う蛇には後ろから喰いつく蛇が付いており、池の中にはさらに大きな蛇がそれを喰おうと狙っている。
ここまで凄惨な絵を描けるというのは、モネが暖かい血が流れる人間ではなく、冷血な爬虫類の仲間である事の証明である。