研修先の農家でこんな変な形のニンジンが出来ていた。その道30年のプロの農家でも何パーセントかは又根・裂根等の「下物」が出来るらしい。
又根の原因は、「種子の活性が低くて種子根の身長力が弱い場合、播種位置に近いところに施肥された場合、病害虫によって根の先端などが食害されたり枯死したりした場合などで発生し、分岐した根が肥大すると岐根となる。」(野菜栽培の基礎 農文協)という事だ。
要するに根の先端に何らかの障害があるとそこでの伸長は止め、根の他の部分から水分・養分を吸収するべく別の根を出してきてその役目を果たし、やがてそれぞれが肥大するという事らしい。
絵のニンジンは根を伸ばすための障害が相当たくさんあったのだと想像する。
ニンジンの袋づめをしているパートさんはこれを見て、「怖い。」と言っていた。この怖いニンジンは葉付き500グラム130円でJAの直売所に売りに出されたが、売れ残って戻ってきた物だ。こんな洗いにくい、包丁の入れにくい形の物は自家消費用になるのも仕方がない。
ただ写真の素材・絵のモチーフとしては面白い。自然が偶然造りだした不思議な形に想像力を掻き立てられて楽しい。僕はなぜか武者小路実篤の絵を思い出してしまった。
傷つき泥だらけになりながら逞しく生きて行く男が、女性に「俺についてこい。」と言いながら進んでゆく姿を思う・・・・というのは想像力がたくましすぎるだろうか。