ゴッホのこの花の絵はどうだろうか。
フィンセント・ファン・ゴッホ 「銅の花瓶のアミガサユリ」 1887年 オルセー美術館(フランス・パリ)
銅製の花瓶にアミガサユリが挿されている。背後の壁は花のオレンジ色が映える青色の物だ。テーブルの上には、藁(わら)にも見えるが何かの布製の敷物だろうか、が敷いてある。
花の部分の拡大図。ツリガネソウのように下向きに咲き、おしべ、めしべが見えている。この絵では「がく」がいやに大きく、盛んに茂っている。そういう種類なのだろうか。
ネットで拾った「アミガサユリ(Imperial Fritillaries)(和名バイモ)」の画像。左が花の部分。花びらの内側に網目模様があるのが名前の由来。右側が茎の部分。3月から4月に6弁の花びらを咲かせる多年草。タマネギやニンニクのように鱗茎を作り、その部分を乾燥させて薬用になるそうだ(咳止め・痰切り・止血・催乳に効果)。
花は淡い緑色とある記事では書いてあるが、ゴッホのそれは黄色からオレンジ色になっていて、どうも日本や中国のそれとは違うのだろうか。ゴッホの時代はパリ万博後の日本ブームで、日本文化がフランスに伝播している時だから、ゴッホ自身が実物と違えて描いているのだろうか。
壁の青色(と言うよりもラベンダー色)も実際の色とは思えない。花の色同様、ゴッホの想念上の表現したい色合いなのかもしれない。ゴッホの作品は色使いが他者と違うのが特徴である。
まるで鈴を描いた様な銅製の花瓶。上半分と下半分がずれているのが何故だろう。それと背景の青色が花瓶の輪郭に沿って変に前面に押し出されて来ている。壁の方が手前で、花瓶が奥まって見える。フェルメールの「牛乳を注ぐ女」のミルクポットの中のように、本来凹部のはずの所が凸部に描かれている。
元絵の画質調節をして、さらに小さくすると、全体像が捉え易くなる。
この絵、花の部分をひとまとめにして見ると、化け物が大口を開けて何かを喰っている図に見えて来ないか。花瓶の上にある何かをその背後から一口で呑み込もうとしている、蛇の頭部に見えないか。
僕の目に見えて来たのは上図右のイラストのような形である。
花瓶の上に二匹の蛇がいる。大きな蛇(イラストでは黄緑にした)は花瓶よりも顔が大きく、大口を開けて小さな小さな人間(花のがくに見えるのが人間の様だ)を口に入れている。口の中に見える白い物は垂れる唾液か。比較的小さな蛇(青)は、大きな蛇の首周りに襟巻のように巻き付いている。その胴体は大きな蛇の前に来たり後ろに隠れたりしながら回っている。そいつの頭は花瓶のすぐ上の小さな人間を喰っている。大きな蛇の口の前で一足先に餌を喰っている。
花瓶はコントラストを強めると花の色とほとんど変わらない色をしている。これは上の大きな蛇に繋がった胴体かもしれない。青い蛇に見え隠れしながらとぐろを巻くように上下二段になっていて、青い蛇がその左右を囲うようにしているので、球形の花瓶に見えているのだと思う。花瓶の表面に人間の身体のような形が見えるのは、この蛇が人間をその腹の中に入れた事を、腹を透かして見せているの違いない。
時間を掛けると、こんな風にも見えて来た。
青い大蛇の頭は、画面右下にある。テーブルの上の人間をついばんでいる。テーブルの上に横になっているのは、人間の男女、後背位で繋がっている。
花瓶の上にも、同じように性交中の人間の男女がいる。青い蛇と同じ色だから見えにくいが、イラストでは黄色く描いたような男女の姿が何となく見えないだろうか。両目と尻の位置さえ掴めれば大体の形が捉えられるはずだ(この辺は別の見方をする人もいるだろう。僕自身時間をおいて見直すとまた違って見える事がある。いろんな捉え方が出来るように描いてあると言う事だ。複数の隠し絵を重ね合わせて一枚の絵にしてあると思える。未知の画像処理ソフトの成せる効果だと思う)。
さらにこの銅製の花瓶が、女性の子宮のように、人類創生の容器に見えたりもする。