ピーマンの中のオオタバコガ posted by (C)カール茅ヶ崎
研修先農家のピーマンにオオタバコガの幼虫がよく入っている。よくよく探して見逃さないようにして袋詰めして出荷しなけらばクレームになる。
ピーマンの中に入ったオオタバコガは発見しにくい。コイツは花に卵を産み付けられ、花が実になると実に1ミリくらいの小さな穴を開けて中に侵入する。ヘタの隙間から侵入されると見つけにくい。実の表面の穴でも汚れが付いていると区別がしにくい。実の中の空洞で種を食べまくる。ここにいれば雨風を防げるし、農薬もかかって来ない。食糧が豊富にある天国の様な空間でぬくぬくと大きくなる。先日1ミリの穴の開いていた実を割ってみたら、3センチくらいの幼虫が入っていた。
コイツは生まれたばかりの頃から強靭な顎を持っているようで自分の体が入るだけの穴を開けられるらしい。実の中を食い尽くすとその実から脱出するが、その穴は体が大きくなっている分大きくなり、4ミリくらいだ。脱出口は見つけやすい。
虫食い穴のある実は収穫時にハサミで切って落とすが、中にまだ虫が生きているとそいつが成虫になるのでよく踏みつぶさなければならない。
成虫は一花に1個ずつ卵を産み付けるそうだ。(なんて几帳面なんだ。)一晩に200~300個産む。そして8~9日の短い成虫期間に1頭が約2000個の卵を産むというから驚きだ。
卵から蛹・成虫と変わるのは約1か月で1年間で4~5世代が交代する。
コイツの防除に指定農薬はあるが、幼虫が実の中に侵入する前に散布しなければならないので、ローテーションを組んで頻繁に散布するしかない。
ヒトという生き物の食糧を作るという事は、こういった生物との戦いなのだ。生命同士の食糧の奪い合いなのだ。