畑・生き物・美術

畑にある命・美術品が教えてくれる命の意味を農作業しながら考える。

フェルメール「マリアとマルタの家のキリスト」 蛇人間イエスには逆らえない

今日畑でアシナガバチの巣がスズメバチに襲われていた。

農機具を入れてある小屋に10センチくらいのアシナガバチの巣を見つけ、野菜の受粉や害虫退治に役に立つと思ってそのままにしておいたのだ。15センチくらいになったところで一匹のスズメバチにそれが襲われ、中の幼虫が全滅した。スズメバチは幼虫を取り出し団子状にしてむしゃむしゃと喰っていた。アシナガバチの成虫は一時隠れていたが、スズメバチがいなくなってから3~4匹が戻ってきて巣穴をひとつづつ頭を突っ込んで点検していた。

アシナガバチが哀れでしょうがない。アシナガバチにしたら体も顎も大きいスズメバチに生物的にかなわないから見ているしかなかったのだろう。日本ミツバチのように集団で抵抗してスズメバチ熱死させることもなかった。

人間も巨大な口を持った明らかに自分より力の強い生物に襲われたら何の抵抗もできないだろう。

フェルメールマルタ1
フェルメールマルタ1 posted by (C)カール茅ヶ崎

フェルメール 「マリアとマルタの家のキリスト」1654~55年頃 スコットランド国立美術館エディンバラ

この絵の中に前回「牛乳を注ぐ女」で見たのと同じ人の頭ほどのデカいパンが描かれていた。フェルメール22~23歳、「牛乳・・」の絵の3年ほど前の作品である。

まずこの絵の画題だが、聖書の福音書の中の逸話から採られている。・・・・「イエスがマルタの家に泊まった際、マルタはイエスをもてなすために忙しく立ち働き、その姉妹のマリアは座って何もせずただイエスの話を聞いているばかりであった。マルタはイエスにその事で文句を言ったら、イエスはマリアの方が正しいと言う。イエスの世話をするマルタよりもただひたすらにイエスの話を聞き入っているマリアの方が正しい態度であると。」奥の、バスケットにパンを入れテーブルに置いているのがマルタ、手前の椅子に腰かけ頬杖を突いているのがマリアであろう。

フェルメールマルタ2
フェルメールマルタ2 posted by (C)カール茅ヶ崎

マルタの持っているバスケットの中にあるパン、これは人の頭と同じくらいの大きさの蛇の頭である。「牛乳・・」のパンも蛇の頭であったかもしれない。こちらのパンの後ろにはワイン(?)の瓶を包む布がまた蛇の顔であり、パンの蛇に喰い付こうとしている。

フェルメールマルタ3
フェルメールマルタ3 posted by (C)カール茅ヶ崎

このイエスの顔が変である。口から舌を出している。舌なめずりをしている。大事な説教をしている最中に、食事を持って来た女を見ながら舌なめずりしているイエスを作者は何の意図をもって書いたのか理解に苦しむ。

フェルメールマルタ4
フェルメールマルタ4 posted by (C)カール茅ヶ崎

そのイエス、体全体を見るとどうやら青い大きな蛇が構成しているようである。画面右側からイエスの左腕の上を通って腹の上に大蛇がいる。それの口から別のが出ていて連結して右足になっている。イエスの胸は異様に細く、蛇の胴体のように見えるからイエス自体が大蛇なのかもしれない。左足のあたりでは大蛇が円を描くように回っている。また同時にそれらがさらに大きな蛇の顔を形作っている。

青い大蛇はその口先がすべてマリアの方に向いている。イエスも右手でマリアを指さしている。これは「マリアが正しい」と言う事以外の意味が含まれていると見た。

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マルタの服の形・姿勢等が不自然である。胸や腹にさらしを巻いたように窮屈そうだし、首根っこを掴まれた猫のように肩の位置が高い。

パンの形になっている蛇の胴体は女の体に巻き付いているのではないか。乳房もつぶされて平板になっている。両脇を巻いて後ろに回り、上方に吊り上げているのかもしれない。背後の壁にある黄色っぽい縦の太い線はこのパンの蛇の続きかもしれない。

頭に巻いた布はよく見ると蛇である。右肩から出た蛇が顎の下を通って頭の方に登り乗っかり、額あたりを齧っている。

フェルメールマルタ6
フェルメールマルタ6 posted by (C)カール茅ヶ崎

大蛇に腹を締め付けられ、両脇で上に吊り下げられた女の顔。少し口を尖らせてイエスに不平を言っているようにも見えるが、実際は苦しくて意識が薄らいでいるのだと思う。

フェルメールマルタ7
フェルメールマルタ7 posted by (C)カール茅ヶ崎

マリアは体中蛇にたかられている。頭の布、首の布、腰の布は蛇が巻き付いているのであり、後ろのテーブルクロスはその柄の大蛇が覆いかぶさっているのである。大きすぎる下半身は大蛇がたくさんのたくって形作っている。

左足全体の色が他と違う(右足の下肢もだが)。陰になっているのではなく、ここは彼女の本来の足が無く、大蛇が成り代わっているのではないか。

フェルメールマルタ8
フェルメールマルタ8 posted by (C)カール茅ヶ崎

マリアの顔。顎に蛇が巻き付いていて苦しそうである。右手で剥がそうとしている。

その表情は、イエスに「あなたの方が正しい」と言われて喜んでいるような顔ではない。驚いたような顔をしている。

エスと言う蛇人間に「あなたを喰う」と言われればあるいはこんな表情をするかもしれない。

フェルメールマルタ9
フェルメールマルタ9 posted by (C)カール茅ヶ崎

マリアの左足先。踵の形がおかしい。こげ茶色の蛇が踵を咥えているから踵の一部が見えないのだ。くるぶしから上も別の蛇が咥えている。そこは蛇に呑まれているもしくは切断されている。

フェルメールマルタ10
フェルメールマルタ10 posted by (C)カール茅ヶ崎

マルタの持つワインの瓶のようなもの。その瓶の口の上に赤い色の部分がある(画面右上)。明らかに赤い。マルタの肘に隠れてよく見えないが、肉ではないか。そして瓶に見えた物はよく見ると瓶にしては肩が無く、棒状で骨のようである。これは骨付き肉か。「牛乳・・」ではパンのすぐ後ろに肉があったが、ここではこういう形である。

フェルメールマルタ11
フェルメールマルタ11 posted by (C)カール茅ヶ崎

マリアの腰かけた椅子。猫足になっているが何故か白い部分が数か所ある。僕にはこれが皮膚を削って骨が見えている様子に見える。マリアの左足が切断されて骨付き肉となってマルタがイエスに提供している事をこの椅子の脚が示唆しているのか。

巨大な蛇の化身であるイエスに睨まれ、望まれれば我が身を提供することを拒めない。スズメバチに子供たちを喰われても黙って見ている事しかできないアシナガバチの立場と似ている。