前々から疑問に思っていた部分がある。この作品の真ん中あたりに描かれたやたらと目立つ部分である。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 「岩窟の聖母」 1483~1486年 ルーブル美術館
聖母の腹にある黄色い物は何だろう。画面の中央に近く、赤味がかった紺色の聖母の服の中に黄色がありひどく目立つ。それにワニの口のような変な形だ。聖母の衣服と言えば赤い服に青い外套と相場が決まっていると思うのだがこの黄色い物はどこから出て来たのか。
この絵は聖母を中心に、向かって右に天使が描かれており、天使の手前がイエス、左側に洗礼者ヨハネが描かれているとされる。左の幼児ヨハネがイエスに祈りをささげ、右の幼児イエスが彼を祝福しているのだそうだ。天使がヨハネを指さし、聖母がヨハネの肩に手を掛けている。
ユダヤの王が幼児を殺すので聖家族はエジプトへ逃避した。その逃避行の途中で幼児ヨハネに会うと言う、聖書には無い場面が描かれているそうだ。
しかし何故こんな洞窟の中のジメジメした、蛇が巣くっていそうな場所に彼らはいるのだろうか。聖家族が未来の洗礼者に拝まれるのならそれらしくもっと明るい陽の下での希望に満ちた描き方が出来なかったのか。
この絵は以前見た時に、右上にUFOが着陸しており、蛇の化身としてのマリアがUFOから出て来て生贄の人間を喰う場面であると見た。幼児二人はその喰われる子供であるのだろう。
今回は聖母の腹にある黄色い物体に注目した。ひざ掛け? イエスを抱くときに包む布? いやこんなに目立つように描かれていると言う事は何か重大な意味が有るはずである。
少し引いてみた。聖母の視線・天使の指先・イエスの指先はこの部分を指しているのではないか(天使はそれから視線をそらし、指先が力なく下がり気味だが)。
聖母の腹・・・・と言う事が象徴しているのは・・・・。
この黄色い物体をイラスト化しながらよくよく見てみた。こんな風に見えた。
人間の身体が背を向けて横たわっている。尻の下あたりは紺色の何かに隠れているが、聖母の胸にいる大蛇の頭に喰い付かれている。その腰の辺りには小さい人間が何人もいてやはり喰われている。
少し引いたこの部分図で見るとまた違った物が見えて来た。
聖母マリアの身体は大きな蛇(イラストでは青)であり、後方上空から来た胴体が一度地面に着き、上昇し再び下がり頭を下げている。地面にいる小さな人間たち(服の皺に見せている)を口にしている。
黄色い部分の左半分に聖母蛇よりもいくらか小さい蛇の頭が見える。これは見つけにくいかもしれない。聖母の右腕を構成している別の大蛇が重なって隠しているので形が捉えにくい。しかし確かに両目らしき物が見えている。背中を見せる人間の両肩辺りに目が見える。こいつ(イラストでは緑)が先ほどの小さな人間たちを喰い、背中を見せる人間を半分呑み込んでいる。こいつは聖母蛇の身体に纏わり着くように一周し、聖母蛇の頭に置いてある餌としての人間を喰っている。
どうやらこいつがマリアの子イエスの真の姿ではないか。手前の幼児二人はイエスでもヨハネでもなく単なる餌である。だから聖母も天使もしっかり手で捕まえている。
蛇類が好むジメジメした岩窟で、UFOに乗って降りて来たマリアが人間を喰っている。我が子も連れて来ており、その子にも同じものを与えている、そう言う絵であろう。天使の指さす先に神の子がいる。