不思議な表現方法の絵だ。最初この絵を見た時は、少女の生首が三つ並んでいると見えた。しかしそれだけでは無いらしい。
ギュスターヴ・クールベ 「窓辺のイギリスの三人の少女(Young Englishwomen by a Window)」1869年 ニュー・カールスベア美術館(デンマーク・コペンハーゲン)
窓辺に三人の少女が椅子に座って並んでいる。皆画面左方向を見ている。一番幼い少女は窓の外を見ているのか突っ伏している。その肩には白い犬がじゃれついている。真ん中の髪の長い少女の座る椅子の背には赤い上着が掛けられている。
なぜ真ん中の少女は後ろ向きなのか。なぜ皆横を向いているのか。真ん中の椅子の横のグレーのひざ掛けのような物の表現がよく分からない。暗い画面の中で真ん中の少女の髪や椅子の背・ひざ掛けのような物が一番目立つように描いてあるのも理解しがたい。
細かい所から順に探って行く事にする。まずは向かって右の少女。頬の膨らんだ肉付きの良い健康的な少女の横顔だが、僕にはこう見えた(右イラスト)。人体の寄せ絵で描いてある。同時に蛇の頭も見える。人間の尻が蛇の口あたりである。少女の口に小さな人間がいる。口から顎にかけて血のような物が垂れているように見える。少女の眼は上にいる人間の尻から生まれ出た子供の頭であるようだ。
岸田劉生の麗子像のように大きな頭には蛇と人間が隠れていて、こういう小さな部分でも蛇による食人が表現されている。
真ん中の少女も頬が膨らんでいてその為に口が見えない。物を喰っている事を示しているのではないか。髪の中に大小さまざまな人間が隠れている。頭頂部には人間が二人重なっていて、背後から性交する男女を表しているらしい。尻から子供を産んでいるらしい部分もあちこちにある。
向かって左の少女。ほぼ完全に白目をむいている。瞳は上方に上がりきっているようだ。唇が血のように赤く、手前の犬も何かおかしい。眼が異常だ。
この少女も犬も人間と蛇の組み立てで出来ており、蛇が人間を襲う場面を至る所で表現している。少女の耳の後ろの豊かな髪の部分では、男女が重なって性交しているらしい。子供も産んでいるように見える。
三人娘を揃えてみた。
画面の下半分。何の意味があって描かれたのか分からない部分だが、やはり人体と蛇が隠されている。
全体のイラストにしてみるとより分かってきた。今まで見て来た小さい人間よりも少し大きな人間が少女たちに張り付いている。左右の少女の頭では大蛇が小さな人間を咥えている。真ん中の少女の背から椅子の背に掛けて、大きめの人間が山積みになっている。やはりどの絵でも大抵そうだが、画面手前部分には蛇神に捧げる生贄の人間の山が築かれていた。少女の背に張り付くように乗っている人間・その前に屈曲した人間・赤い上着の中の前屈姿勢の人間・ひざ掛けにも見えた左右のグレー部分も前かがみの人間である。椅子の背の黒い部分も前屈した人間かもしれない。少女の後頭部の方から大蛇が一番目立つ後ろ姿の一人の人間の頭を咥えこんでいる。
これがおかしな表現だと思う所である。三人の少女は本来の椅子に座る形以外に上図右のイラストのような、別の姿勢が見られる。中央の少女の座る椅子の背に掛けられた上着は左の幼い少女の尻となっている(イラストでは赤・椅子の背を突き抜けている)。真ん中の少女は椅子に座らず尻を見せて立っている(イラストでは黄)。右の少女は椅子に座ってはいるがその足先が二人の少女の腹の下あたりにあるらしい。つまり三人の少女は生贄のように積み重ねられている。これを巨大な蛇神が一呑みにしてしまうと言うのだろうか。
三人の頭部はその身体と微妙にずれている。少し奥まって離れているから恐らく胴体と繋がっていない。
上図左は蛇を中心に見た物。上から下から蛇が集って来ていて人間に噛み付いている。少女たちの頭にもそれぞれ喰い付く蛇が背景の中にいる。画面下部の暗い所に新たに隠れていた人間を見つけた(イラストで黄色)。画面右下には人間を咥えたままこちらを見つめる大蛇もいる。この蛇はいかにも「人間は俺たちの食糧なのだ」と言いたそうである。
上図右は大きく見た場合の蛇画像。三匹の巨大な蛇が画面の中の全てを呑み込む。左上から窓の手すりと真ん中の少女の髪の結び目を眼にした蛇(青)。右上にも巨大蛇(緑)。下からは三人を下から呑み込む巨大蛇。顎の裏を見せながらぱっくりと開いた大きな口を閉じた所である。まるでシロナガスクジラが海上に飛び上がるような形で呑んでいる(ただここはグレーのひざ掛けの左右全体で一つの巨大蛇の顔にも見え、三人をまとめて口の中に入れているようにも見える。どちらにしても同じ事だ)。
初め簡単な残酷表現かと思ったが意外と解析が難しかった。まだ見えて無い所が多くあるようである。
人間が蛇の食糧だなど荒唐無稽で信じられない人がほとんどだろうが、僕が自分の眼で発見した真実を今後も地道に発表して行きたい。