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畑の生き物と共に

農園の生き物の事を絵日記風に書いてます。自身も土と共に生きたいと思って転職した中年農業5年生。

オクラの花は半日でしぼんで落ちて、後は子育てに専念する

オクラの花
オクラの花 posted by (C)カール茅ヶ崎

オクラの花は朝咲いて昼過ぎにはしぼむ。開花はわずか半日の短さだ。次々に咲かすのでいつも咲いている感じだが、一つの花ははかない命だ。

花が咲くとすぐに自家受粉して実を生らせる。実が大きくなるにつれてしぼんだ花がその先の方に押されて、まるで着物を脱ぐように、セーターを脱ぐようにして下に落ちる。

実の大きくなるのも早い。たくさんの種をあっという間に作る。このまま人に食べられなければ実を充実させて裂けて種を飛ばすのだ。種は一つの実から50以上も作るかと思う。

 

オクラの子作りは忙しい。男女の出会いなど省略してしまって、せっかく野菜で一番美しいと言われる鮮やかな花も短期間でしぼませ、さっさと子供を作ってしまう。一株で花が20個くらい咲くだろうか。いったい1株でどれだけの数の種を飛ばすつもりなのか。多産系の肝っ玉母さんのようにも思える。

 

人間の最近の女性は子供が出来ても長い髪を切らない、化粧を地味にしない。余裕がある。

オクラの花がその最盛期をさっさとあきらめて子作り・子育てに励み、自身は縮んでしぼんで枯れて落ちてしまうのを見て戦前生まれの母を思い出す。

農家の主婦の母は、農作業をしながら6人の子供を育て上げた。最後の子供である僕が就職するころには脳梗塞で倒れて入院し、全身不随のまましばらく生きて死んだ。母は仕事と子育てに忙しくてそれ以外の事は頭に無かったようだったが、その若いころの写真を見ると結構美人だったんだなと思う。

大正14年生まれの女性には、時代の雰囲気の中でそんな生き方しか出来なかったのかもしれない。結婚したら身を犠牲にしても家族を守ること以外はしなかったように思える。思春期に国から(オクラのように)「産めよ増やせよ!」と命じられた女性だった。