名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

ダヴィンチ「荒野の聖ヒエロニムス」 心臓と血・肉を蛇神に与える

レオナルドダヴィンチ 「荒野の聖ヒエロニムス」 1480年頃 ヴァチカン宮殿 

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未完の作と言われるが疑ってしまう。作品の由来と言う物はどうも胡散臭い。例えば「サモトラケのニケ」は本当にサモトラケ島で「発見された」のか。僕には首や両手の欠けたその像が十分に作者の意図を伝えていると思えるからである。最初からああいう形で造られたのではと想像してしまう。ダヴィンチの同じ頃の作品「東方三博士の礼拝」も未完と言われるが、調べてみたら半身大蛇のマリアの人喰いが十分見て取れた。

この「聖ヒエロニムス」においても細かい部分の陰影がこれ以上無いくらいに描かれているし、色が付いてない分訴える力が強いと思える。

この絵の画題は、四世紀の聖職者ヒエロニムスがライオンの足に刺さった棘を抜いてやったと言う故事から採っている。画面左にある水桶に浸した布を右手に持ち、手前に大人しく座ったライオンの治療をしている所だろうか。

ただ水桶か井戸かの表現が変に稚拙だし、右手に持った物が布かスポンジか分からないが変に丸い。ヒエロニムスの眼はライオンを見ていない。妙に筋張ったこの爺さんの胸から下の色が変わっている。心臓あたりに穴が開いているようである。爺さんの右背後に蛇行する大蛇が見える。 

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動物に治療を施す人の顔ではない。死にかけて神に助けを求めるかのように天を仰ぐ人の顔である。口の周りが何故かぼやかされていて、まるで口から血を溢れさせているかのようである。顎の真下に、服と肌の境界線上に滴る血が表現されているようにも見える。

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画質を調整すると、胸にこぶし大の穴がある事がはっきりする。穴の中は赤い。

伸ばした右手が握っているのは心臓だろう。その色が肌と同じ色なのは、血を絞り切って下にある桶に注いだからか。

マヤ・アステカ文明の絵には神に心臓を捧げる場面がある。生贄台の上に犠牲者が横たわり、神に仕える巫部(かんなぎ)が心臓をナイフでえぐり出すと言う物だが、それと似た儀式だろうか。アニメ「進撃の巨人」では兵が整列して「心臓を捧げよ」との言葉を唱えて己が胸に手を当てる場面があった。蛇神は昔も今も人間の心臓を欲しがるのだろうか。

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画面に向かって左の水桶、ヒエロニムスの右手の下にあるが、その中に人間の足が沈んでいる。膝をたたんだ状態で赤い血の満たされた桶の中にある。血は溢れてこぼれていて、下に置いてある何かの所まで行っている。イラストの様にそれは人間の腕らしい。腕が三つくらいに分断されて転がっているらしい。その証拠にこの人肉の周りに蛇がたくさん集まって喰っている。画面のこちら側に向かって威嚇するように口を開けている奴もいる。

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このヒエロニムスは蛇に喰われている。両手両足は切断され、蛇に咥えられてその位置を保っているか、桶の中・外に転がっている。ライオンに向かって挨拶をするようなおかしなポーズをしているのは彼の意志ではなく、手足のそれぞれを蛇に咥えられて引っ張り上げられてこの形になっているだけである。ちょうどドガバレリーナが蛇に咥えられて両手を広げているように。手足の切断個所からは血が大量に滴っている。

また胴体は下から大蛇に飲まれている。その蛇をさらに大きな蛇が下から咥えている。これは背後に蛇行している奴の頭かもしれない(何通りにも見て取れるように微妙な陰影・微妙な線が見える)。

ダヴィンチがこの作品を未完成品の様に描いたのは、真っ赤な血の色で満たされたおどろおどろしい絵であるので赤っぽい色一色の方がふさわしいからではないのか。血だまりの上にいる聖ヒエロニムス、蛇に喰われている血みどろの人間を隠して表現するには全体的に赤い色で描いた習作っぽい物が最適だったのだと思う。

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手前のライオンの描写が分からない。一番手前に描かれているのだから何か重要なメッセージが込められていると思うのだが・・・・。

ライオンの体はわずかな陰影で蛇が描かれている。大小の蛇が頭・胴体・前足・後ろ足と形作っている。尻尾ももちろん蛇である。尻尾は綺麗な半円を描いていてその中心に石のような蛇の正面顔が置いてある。このライオンの絵が大きく見ると何か別の物の形を兼ねているはずだが、それが見えてこない。胴体部分が横たわる巨大な男性器の裏側にも見えるがどうだろう。ちょっと解析が難しい。

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画面全体に、用意された人肉を空から喰いに来る蛇神も描かれている。

イラストの様に上から降りて来て人物の右足に口を付けるように描かれている巨大な蛇が3~4体、人間の体を呑み込むように小さめの奴から超巨大な奴までが重ねて描かれている。大きな蛇の頭の上に小さな蛇の頭が重ねられてまるでお供え餅の様になっている。

何体もの巨大な蛇・液体の入った桶・生贄の人間、日本のヤマタノオロチ伝説を想い起こさせる。西洋ルネサンス期にもそれと似たようなこと(生贄)が行われていたのだろうか。

ライオンの尻尾の下の地面に、カエルに似た爬虫類の正面顔が見える(画面左下、イラストの様に)。何も知らない人間どもを嘲笑するような顔である。やはり今でも巨大な蛇神が生贄の人間を喰いに来ているのだろうか。