モネの絵とターナーの絵、非常によく似た作品があったので並べて調べた。
ウィリアム・ターナー 「海岸に近づくヨット」 1840~45年 テート・ギャラリー
画題から推測すると、日暮れ時に港に帰って来たヨットが描かれているらしい。ただ暗すぎてよく分からない。画面左下にヨットの帆らしきものが描かれていて、画面中央に雲に隠れた太陽らしきものがあるようだ。
画質を変えて明るくした。画面下端中央の土色の縦線は空の向こうの太陽の輝きが水面に反射した物だろうか。それとも砂浜か、コンクリートの護岸だろうか。「Yocht Approating the Coast」とあるので、「Coast」の部分だろうか。
作者にとってそれが光の反射であろうと、海岸であろうとどう解釈されても構わないらしい。イギリス特有の霧の中のモヤッとした風景を描きながら、別の意図をこの絵に持たせている。
「海岸に近づくヨット」? こうして部分図にして画質を変えてもどこがどれやら分からない。それどころか全く別の物が見えて来だした。
この絵は上のイラストのような、ドクロの一部分を抜き描きしているのではないか。「死」のイメージを込めているのか。
「戦争:流刑者とカサ貝」 1842年 テート・ギャラリー、オンタリオ州立美術館
こちらは同じターナーの別作品。戦争で失った友人を偲ぶ軍人の図だと言うが、その友人らしき人の顔が画面下端に露骨に描かれている。それを空に浮かぶ巨大な爬虫類の顔が喰い付いている。何だろう? 分かり易すぎる。ターナーもふざけすぎ(?)ではないか。これに気付かない人間たちをバカにしているのか。
水平線の上と下を分けてイラスト化した。水平線の上と下では明暗が違いすぎ、画質の変更がうまくできないからだ(例えば全体図のコントラストを強めると上か下どちらかの細かい部分が飛んでしまう)。
空の雲のモヤッとした部分に巨大な蛇の顔がある。ヨットの帆の三つほどのとんがりはこの蛇の牙のように見える。または喰われる人間のあばら骨でもあるか。
水平線から下の部分はこんな風に喰われる人間たちの図に見える。
上下二つを繋げる。全体字で見ると隠し絵がこんな風に入った絵である。
クロード・モネ 「印象・日の出」 1872年 マルモッタン・モネ美術館
一方モネのこの絵。ターナーによる30年前の「海岸に近づくヨット」を見ているはずである。モネは普仏戦争を避けてイギリスに疎開していたから。
左のターナーは恐らく日暮れ時、右のモネは日の出の時刻と違ってはいるが、低い位置の太陽と港と船と言う似た様な素材を用いた絵にしている。
水平線の位置が若干違うが、空に見えて来る「モノ」は同じである。
左がターナー、右がモネの絵のイラスト。モネはターナーの絵を趣旨においてそっくりそのままコピーしている。
どちらの絵でも正面を向いた巨大な蛇が大きく描かれていて、その口の先に人間らしき生贄の生物を咥えている。