名画の中の人喰い蛇

美術館にある名画には蛇の隠し絵がある。その蛇は人間を喰っている。

北斎 「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」   組み打ちの絵では無い

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葛飾北斎 「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」 1827~32年 アムステルダム国立美術館 (上図では画面の右下にある北斎の銘を拡大して並べて掲げた)

僕も日本人だから江戸時代の錦絵に共感できるところがあるだろうし、また新たな発見もあるかもしれないと思い調べてみた。

頼朝以前の相模の国の領主鎌倉氏の若武者景政が、後三年の役で敵将を打ち取った戦いを描いている。16歳で初陣の景政は敵に右目を射抜かれながらも、みごと兜首を挙げたと言う事で英雄視され、後に歌舞伎の演目の一つにもなった。

この絵は戦う二人が複雑に組み合って、手や足がどこにあるかも分からない。ただ組み打ちの激しさ・勇ましさがよく伝わってくる。双方の長剣は二人の全面で交差し、景政は後ろに回した右手(画面最上段に右手がある)に持った矢を敵に刺そうとしているようである。右目が損傷してないのは英雄だから、若武者のりりしさを強調したいからか。

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九代目市川團十郎の鎌倉権五郎景政 (写真)

歌舞伎十八番の一つ「暫」(しばらく)は史実上の鎌倉影正(景政)を元に創作されたそうである。

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鎌倉の権五郎景政の若々しくりりしい顔、目の横には隈取が薄く見える。顔がよく見えるようにか兜は被ってない。

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一方、鳥の海弥三郎保則。顔色が赤黒く口がゆがんでいる。鼻や頬を表す線もごつごつしている。鼻毛だか髭だか分からない毛まで生えている。

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ここで二人の身体がどうなっているのかを探ってみた。権五郎の右手は矢を持って最上部にある。左手は弥三郎の首を絞めている。同様にして二人の手足のありかを探ってみる。服や鎧の色が頼りだ。

・・・・すると、上図右のイラストのようになってしまった。なってしまったと言うのは二人の体位がまるでセックスをする男女のような形になっているからである。

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画面最上段には権五郎の矢を持つ右手があるが、その後ろにあるのは弥三郎の足先ではないか。履いた草鞋の裏が見えている。足袋の指・足首が見えている。これは左足と思える。だから弥三郎は仰向けに転がって足を大きく上に上げて、その足先がここに見えていると言えるのだ。

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二人の前面に交差する刀。弥三郎の刀は手から離れ抜き身のまま空中に置かれている。権五郎の刀は背中にあり鞘に収まっている。・・・・と言うよりも刀身が少し見えているようだ。弥三郎の刀をここで受けたのだろうか。

全体図で見ていただくと分かると思うが、権五郎の左腕は細い。左足も細い。顔も色白で赤い刀を持っている。刀同士が交差しその一方が一種女性的な描き方がされている・・・・と言う事はひょっとして作者は男色(ゲイ)の関係を暗示しているのではないか。はっきり言えば弥三郎の抜き身が権五郎の肛門に・・・・

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大蛇が人間を喰う図でもある。

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別の見方をするとこうなった。作者はこういう隠し絵を世間の人に見せたかったのではないか。

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北斎の銘の横で鬼がほくそ笑んでいる。その周りには菊の模様が散らばっている。