名画の中の人喰い蛇

美術館にある名画には蛇の隠し絵がある。その蛇は人間を喰っている。

ゴッホ 「星月夜」 人間の肉体の創造・行く先

画家には世界がこんな風に見えるのだ。人の心の中の光景をそのまま絵にするとこんな絵になるのだ。ゴッホのこの絵には誰でも共感できる何かがある。

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フィンセント・ファン・ゴッホ 「星月夜」 1889年6月 ニューヨーク近代美術館

「朝に近い星月夜の光景。金星や大きな白い星々が見えている。教会の尖塔に故郷を思い出す」(Google Arts &Culture解説より 自分なりに意訳した)とゴッホは弟テオへの手紙に書いている。

金星や星々、それに中央で渦を巻くのは天の川か。星々の輝きが彼らの命の輝きのように感じられる。渦を巻く銀河は檜の揺らめきや山・街のうねるような動きと相まって、宇宙の神秘的な営みをも考えさせられる。

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分かり易いように明るくしてみた。

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前回この絵を見た時はこう解釈した。画面全体に巨大な蛇神がいる。それが地上の山や街に模した人間を喰っている。檜の大木も空から降りて来た蛇神である。画面下端には布に包まれた生贄の人間もたくさん配されている。

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今回はここに注目した。画面中央の渦巻く形体である。画面の中央だから必ず大事なメッセージが隠されているはずだ。

巴形に渦巻いているのは恐らく天の川銀河を表しているのだろうが、天の川を見てここまでの渦巻きを普通見る事は無いと思う。ゴッホの生きた19世紀には肉眼で天の川を見ることが出来ただろうがこんな形では無いはずだ。彼は星の輝きを見ている内に星の生命力のような物を感じて、現実には無い心象風景としてこんな形を絵の真ん中に描いたのだろうか。

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僕にはこんな風に見える。巨大な蛇が人間に喰い付いている光景である。蛇と人間が巴になって絡み合っている。人間は蛇型生命体の食糧である事をここでも訴えているのだ。

それと同時に宇宙から来た蛇型生命体の遺伝子と地上の猿人の遺伝子が絡み合い、混ぜ合わされている様子をも表しているのではないか。この渦の周囲に散らばる白い星々は子宮内に誕生したばかりの人間を表しているとも思える。すなわちこの渦巻は、人間創造の真実を伝えるべく真ん中に配置されているのではないか。

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そう思えば巴の下側の人間に続く小さい渦が猿の尻尾にも見えて来る。

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全体をイラスト化するとこうである。これは僕なりの解釈で、異論を唱える人も多くいると思えるが、とにかく僕の目にはこう見える。

この絵には「巨大蛇型生命体が人間を喰う」と言う一つのテーマの他に、人間がどうやって出来たかを知らしめると言うテーマも入っていると思う。画面中央に地球由来の猿人と宇宙由来の蛇型生命体の遺伝子が交じり合って人間が誕生する。その生命の雫のような物が地上に垂れて(教会の尖塔の形で表されている)、地上に横たわる人間を創り出している(地上に横たわる人間ーー青緑色で描いたーーは見えにくいかもしれないが)。

この絵は人間誕生の絵である。星の輝く空は子宮内であり、星々は誕生したばかりの人間たちである。人間の肉体は彼らによって創られ彼らによって回収される。

ただ、人間の魂の元々いた所、行く先はまた別である。