名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

ダヴィンチ 「荒野の聖ヒエロニムス」 未完成品ではなく、作者の意図は表現され尽くしている完成品

前回の「聖アンナと聖母子と洗礼者ヨハネ」同様この作品も未完成とは思えない。作者の意図する全てが表現されていると思われるからである。色の塗ってない部分も十分に描き込まれている。むしろ白地に近い部分こそ作者の思惑・意図・仕掛けが込められていると思う。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ 「荒野の聖ヒエロニムス」 1480年頃 ヴァチカン宮殿

この作品は過去にも検証したが、その際手前のライオンの存在意義・尻尾が綺麗な半円形を描く事・桶の口がおかしな変形した楕円である事の理由がどうしても分からなかった。他の名画を時代や国を変えてあちこち一回り見て回ってからもう一度見てみると理解を進めることが出来た。

前回の「聖アンナと・・・」よりも20年ほど前に描かれた作品だという。

自ら己の心臓を取り出して血を絞り蛇神に飲ませている。手足を切断され神に呑まれている。地面は血だらけである。背後や地面には大蛇・子蛇がうじゃうじゃといて空からは半透明の蛇神が降りて来て彼を喰っている。そんな絵であった。

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名画の画面の一番下、手前部分には神への生贄の人間が集められていることが多い。この考えでこの絵を見るとこんな物が見えて来た(上図イラスト)。ライオンは生贄の人間が集まってできた物であった。ライオンと尻と胴を共用した人間が上体をひねり右腕を地面に突いている。頭は下に下げている。ライオンの左後ろ脚は別の人間が張り付いてそれに見せている。ライオンの顔は小さい人間が逆さになって背中を向けて作っている。その人間は手と足が途中で切断されているか、背景の中にいる大蛇の口に呑まれていて見えない。後のたてがみ等は他の人間の死体の顔や手足が積み重なって構成している。非常に巧みな表現である。一見どう見ても絵具の描き込みの不足した、地塗り段階の描きかけのライオンにしか見えない。色を塗らなくても作者の意図は十分表現されている。

コントラストを強調するとライオンの胴体等に地色の赤が際立ってくる。生贄の人間の流した血の色なのだろう。

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半円形のライオンの尻尾、その中心に石ころの様な物が転がっている。これが何か分からなかったが、やっと僕なりの結論が出た。これは骸骨である。後頭部を左に向けて横倒しになっている。しかもこの骸骨には身体も付いている。うっすらとうつ伏せになった人間の身体が見えて来た(上図イラスト)。

ライオンの尻尾はもちろん蛇である。右の生贄の人間の尻の真ん中に頭を付けている。この蛇は綺麗な半円形を作り画面の一番下の位置にあり、地面との明暗の差もあり、かなり目立つ。主題の一番大事な部分である事を示しているのではないか。この骸骨は聖ヒエロニムスとされる人物の未来の姿を描いているのかもしれない。すなわち蛇神に喰われて骸骨となり土に還る事を。

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でかい桶の中にヒエロニムスの左足が入っている。桶の手前に転がっているのはこれも骸骨らしい。眼の穴が下の方とかに描かれていて判別しにくくなっている。手前には一段と大きな骸骨が上向きに転がっている。これには身体が付いているように見える。

ヒエロニムスの足元の地面にも人間の死体がたくさん横たわっている。彼の右足先と見える物は蛇である。地面の死体に喰い付いている。

桶の口がゆがんでいる。セザンヌ静物画のようだ。ここはどうやら大蛇の頭のようである。人間の足を身体に取り込んだ大蛇が地面に転がっている人間の死体を喰っているらしい。桶の口は凹んでいるのではなく大蛇の頭で膨らんでいる。

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右足は蛇が集まって組み立てられているがそれは良い。蛇神の名画の登場人物がことごとく蛇の集合体で表されているからである。足の親指と他の指の間が大きく開いているのは蛇が口を開けているからである。

ヒエロニムスの左手の下、地面に垂れた衣が変に明るく目立つ。まだ色を塗っていないのではなく、これは彼の左手が地面に落ちているのを描いてあるのである。彼の左手は方から手首あたりまでが衣で隠されているが実は切断されていて、その部分を蛇がカバーしている。実際の左手は下に落ちていて、衣に擬態した蛇どもに喰われている。

彼のこの手の奥と上に小さな人間が横たわっている。共に頭は衣の蛇どもに咥えられているので見えない。「聖アンナと・・・」でもこんな表現があった。大きな人体と小さな人体が重ねて描かれている。やはり聖人とか言われる人物は人間とは別物で巨人なのではないか。

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画面の下半分をイラスト化するとこうなる。人間の死体だらけの凄惨な現場である。

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全体図。ヒエロニムス自身の血、生贄の者たちの血で地面は真っ赤である。彼の左足は桶の中、左手は足元の地面に落ちている。心臓もすでに抜かれている。彼は人間を蛇神に捧げようと目の前に生贄を積み重ねている(ライオンに見せて)。彼の横にも大蛇がいて彼に喰い付いている。背景の岩山や空も巨大蛇であり、彼に喰い付いている。

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この絵を大きくとらえるとこうなる(上イラスト)。絵を遠くから見たり、薄目にして見たりいろいろと違った見方を考えながら輪郭を辿ると次第に見えて来る。

画面いっぱいに巨大蛇の頭が見える(イラストでは青の輪郭線で表した)。空から降りて来るやつでヒエロニムスをそっくり呑み込み、左下の骸骨あたりに口を付ける。

左側にも強大な蛇が空から垂直に降りて来て(ピンクの輪郭)、下端の骸骨に同じく口を付ける。

画面右の方からライオンの身体に沿って巨大な蛇(緑の輪郭)がやはり左端の骸骨に口を向けている。

左下の骸骨は未来のヒエロニムスだとすればこうも言える。聖人であれ、殉教者であれ結局は巨大な蛇神の餌になるのだ。