冬の山の景色はいい。空気が澄んでいるおかげで遠くまではっきり見える。
「日本の風景は水蒸気がつくっている」と・また「この風景の感情的表現は油絵のえのぐでは至難である」と司馬遼太郎の本で読んだことがある。
「坂の上の雲」の中で、連合艦隊がバルチック艦隊を撃滅するべく佐世保を出港する際、主人公の一人秋山真之が遠ざかってゆく陸地を見てそう考えたと書かれている。
全くその通りで、この国の山々の遠景は必ず霞む。山の裾にたなびく霞は地上の水分が水蒸気になって天に向かって行く様子だ。
そんな国土だから作物の育つ条件は良い。良い条件を与えられながら、農業の担い手が減り、耕作放棄地が増えているのは何故なんだろう。
冬の様な寒風に震えながらタマネギの定植をしている。