ジャガイモに殺虫剤を撒いていると、白っぽい蛾が一斉に飛び立った。
体長16ミリくらい、調べるとたぶんジャガイモガと思える。
特にジャガイモに被害をもたらすのでこの名が付いている。
栽培中葉裏に産み付けられた卵から幼虫が孵化し、葉肉を食害する。貯蔵イモに産み付けられた卵はその幼虫がイモの内部に穴をあけて入り込む。
体長8ミリの幼虫がイモの中から出てきたら消費者は驚くだろう。そんなイモを買った家族は一晩中大騒ぎになるかもしれない。クレームになる確率が大きい。
栽培中は「オルトラン乳剤」で防除、収穫後はそれを寒冷紗等の防虫ネットで覆って成虫の飛来を防いで貯蔵する事。
しかしこの蛾、年に6回くらい発生するという。卵・幼虫・蛹・成虫・産卵のサイクルが年6回という事は平均して一生が2か月という事か。冬の間は幼虫・または蛹で長い時間を過ごし、春・夏・秋の間の発生が4~5回で盛んとなり、特に夏場は1世代20日の短さで次の世代に代わるらしい。
一生が20日~60日という事だとすると、蠅や蚊の寿命が40日という事だから同じくらいだろう。何てはかない命だ。
カゲロウははかない命の代名詞となっているが、それは羽化してから死ぬまでが1日くらいで、幼虫時代から死ぬまでの一生は半年から1年だからこの蛾はカゲロウよりも短い命だ。
そう考えるとこの蛾を殺すのがちょっと可哀そうにも思えてくる。たった1か月余りの命なのだ。たくさん食べて早く大きくなって、急いで羽化して配偶者を見つけなければいけない。
この蛾はジャガイモが終わるころには、ナス・トマト・ピーマン・秋ジャガイモと移動しながら生き延びてゆくようだ。ナス科の作物が好きらしい。
僕と同じような物が好きなんだな。
だけど人の食べ物を作っている僕にとっては敵だから、見つけ次第やっつけるつもりだ。