名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

池大雅 「楼閣山水図屏風」 画題は山水画だがここにも人喰い蛇が・・

 江戸時代の南画の大成者と言われる池大雅の屏風絵を調べる。この絵も人間の描いた物では無さそうだ。

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池大雅 「楼閣山水図屏風」左隻 江戸時代18世紀 東京国立博物館 国宝

右隻には洞庭湖・長江とそれを望む楼が描かれ、この左隻には琅琊山(ろうやさん)の酔翁亭が描かれているそうである。古くからの中国文化に憧れた江戸時代の日本人が、宋の時代の記録に基づいて想像力を逞しくして描いた物らしい。

確かに古代中国の山水画に描かれている幻想的な風景には僕も憧れる。風光明媚な山の上に楼閣を建て、文人墨客を招いて雅会を催すのもいい。僕の場合はもっと厭世的に俗世から離れて仙人的な生活に憧れる所が強いが、この絵では人との交わりが多い。 

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画面左下、童子に支えられながら老人が山上の楼閣を目指す。朋有り遠方より来るまた楽しからずや・・と言った所だろうか。

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画面右下、友人が料理や酒を携えて訪ねて来ると言うのもまたいいかもしれない。

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山上の酔翁亭では赤いテーブルを囲んで酒か何かを飲み交わす。青い服の恰幅の良い男が亭主だろう。何を飲み何を話しているのか。

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この空想で出来たような光景の中に、池大雅はこんな物を密かに描き込んでいる。すなわち画面右下、中央寄りの近景に生贄の人間が山と積まれているのである(上イラスト黄色いのが人間)。

岩っぽく描かれてはいるが微かに青や赤の服の色が施されている。皆頭をこちらに向けて突っ伏しているように見える。その後ろに大蛇がいてこの人間の山に喰い付いている。やはり生贄の人肉は画面の手前に描かれるのが定番のようである。

人々は白い布で包まれているようにも見える。

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画質を暗めにしてコントラストを強調すると、画面全体に隠された巨大な蛇神が見えて来る。イラストでは分かりやすいように色分けしてみた。

左の黄緑の巨大蛇神、道行く人々や路上に積み上げられた生贄を喰っている。後ろにいるやはり巨大な蛇に自身も呑まれて繋がっている。この手前の方の蛇の顔があまりにリアルなのに驚く。橋の曲線が口の線になっているのだが蛇の正面顔がかなり写実的である。

右の肌色の巨大蛇とピンクの巨大蛇も人々を呑み込み生贄の山を喰っているが、蛇の頭の形がかなり本物に近いと思う。江戸時代の絵師は浮世絵のようなデフォルメされた線画でしか物が表現できないと思っていたがこれはどうだ。まるで写真で撮ったような正確な形・陰影で描かれているではないか。

真ん中の青い巨大蛇は楼閣の人々をその口の中に入れている。青い服の恰幅の良い裕福そうな親父さんも結局は蛇神に喰われる存在でしかない。画面中央で一番目立つ楼閣の中のテーブルの赤色は人間の血の色を表しているのだろうか。蛇神の大好きな人間の生き血の色を・・・。