名画の中の人喰い蛇

美術品が教えてくれる命の意味を農作業しながら考える。

ルーベンス「聖母被昇天」 マリアは人間を喰いに来た

アントウェルペン聖母マリア大聖堂には前回の「キリスト降架」の他に、同じルーベンス作の「キリスト昇架」と「聖母被昇天」があるそうである。今回はその「聖母被昇天」の方を見る。「フランダースの犬」の作者が、ネロ少年の最期に天使に持ち上げられて昇天する場面をこの絵を見て思いついたと思われる。

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1625~1626年の作と言うから、「キリスト降架」の10年ほど後の作である。高さ490cmの大作。

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画面にぼかし・ノイズ・画質のレベル調整をして大雑把に目を細めてみると、やはり画面全体に大きく悪魔の顔が見えた。「寄せ絵」である。頭に角らしきものもある。人物たちを口の中に入れている。

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同じ絵をこう見ることもできる(上図左)。巨大蛇の正面顔が上下に重なっている。前の奴を後ろの奴が咥えて連結している。他の絵画でさんざん見てきた蛇神の顔だが、これが背景に描かれるのではなく、群像の中に「寄せ絵」で見られるのはミケランジェロの「最後の審判」等と同様である。

細かく見れば同じ絵が蛇だけで描かれていることが分かる(上図右)。さらに細かく見るとまた別の蛇が表れるのだろうが、今回高解像度の画像が手に入らなかったのでこの辺まで・・・。

手塚治虫の「火の鳥」の中で、極大世界・極小世界の事が描かれていたが、それと同様である。・・・・人間は地球におり、地球は太陽系・銀河系の中にあり、銀河が集まって宇宙を作り、その宇宙は極大生物の細胞のひとつにしか過ぎないかも知れない。また人間の細胞は原子・素粒子の集まりであり、その素粒子の中を生活圏とする極小の生命体がいるかもしれない。・・・・確かこんな内容の話だった。

極小の蛇をもって少し大きな蛇を描き、それを集めて大蛇となし、それがまた集まって巨大な蛇を形作る。(この絵の場合は悪魔の顔を潜在意識の中に植え付けて人間を怖がらせようとしているが、基本的にはこの世界の仕組みを垣間見せている。)

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画面向かって左の、亡くなった人を担ぎ上げて天国に案内する幼児天使。しかし画質を変えてよく見ると、天使たちは自力で飛んでいるのではなく、手先等を大きな蛇に咥えられて吊り上げられているのである。聖母のスカートの部分には大蛇どもが何匹も張り付いていて、子供たちの手を呑み込んでいる。空の中に空色の大蛇がいて、その口から少し小さい蛇が出ていて子供の背中に喰い付いていて、それが翼に見えるようになっている。

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画面向かって右の幼児天使も同じ、聖母を持ち上げているのではない。この子たちの背後に灰色の雲にも見える蛇どもがいてそれに喰われている。上図左下の子など首だけになって上から下から蛇に咥えられている。三人の子供が比較的まともな形を保っているが、その下に尻をこちらに向けている子は頭も両手もバラバラで、もはや人間の形を成してない。

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画面右の青年天使も犠牲者である。上の天使は赤い大蛇に腰から下を呑まれているし、右手が分断されてありえない向きで浮かんでいる。下の青年天使も同様、黒い大蛇に尻を噛まれている。この青年の右手も不自然な形で存在している。

この青年の下方に不気味な物を発見した。上図右に拡大画像を掲げたが、それをイラスト化した物が上図真ん中下の絵。人間が顔を残して大蛇に呑み込まれている。銀色に光る頭を持った大蛇である。ちょっと宇宙人っぽい。

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画面左右の男たちも大蛇に喰われている。左端の男の足はこの男の物ではなく蛇である。赤い衣の男は背中に蛇が這っている。右手は上方の白い蛇に咥えられて上げさせられている。左足は多分無い。

右の男たちも衣に擬した大蛇に喰い付かれている。上方から来た蛇にも頭を喰われている。

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画面中央下の女たち。手前の赤い衣の女の左右に大蛇が這い上がって来ていて、そのために尻が異常に大きく見えている。左足は踵が無いし、右足は不自然な所(尻の真下)に横向きに転がっている。

奥の女は両肩に赤い蛇が喰い付いている。

そして上を見上げた左の女、足が無いし、右腕の肘が異様に突き出ている。どうやら腕が途中から無くなっているようである。上図真ん中にそこの拡大図を置いたが、手前の後ろ向きの女の左手の下にある白い布が不思議な形を作っている。奥の女が指さしているのはこの部分あたりである。

この部分を時間を掛けてじっと見続けたら、僕には上図右・イラストのような物が見えて来た。白い布の中にうっすらと人間の足がある。下端に足指が見える。手にも見える部分があるから足の上に手が重なっているかもしれない。

女たちの右にあるのは聖母の棺桶と思ったが、聖母の死の時期にこんな立派な石棺で葬るなどあり得ない。この石造りの台は生贄台ではないのか。女たちは白い布の中にある人間の肉を蛇神に捧げる作業をしているのではないか。

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聖母マリアの絵と言えば、今まで見てきたどの絵画でも下半身が大蛇の姿で描かれていた。この絵でも多分そうだと勘ぐったら、案の定大蛇の胴体が見えて来た。聖母の服と同じ青の濃い色で画面右から上に向かってそれらしきものが見て取れる。聖母マリアはやはり蛇の化身なのだ。そしてこの絵はマリアの昇天を描いたのではなく、蛇神の化身マリアが空から生贄台のある所に舞い降りて、人間を喰いに来た図なのであろう。