名画の中の人喰い蛇

美術品が教えてくれる命の意味を農作業しながら考える。

ルーベンス「キリスト降架」 悪魔の食事と食糧の生産?

今回もルーベンス。 アニメ・「フランダースの犬」のネロ少年が見たがっていたという絵のひとつがこの絵。

ピーテル・パウルルーベンス 「キリストの降架」1611~1614年 聖母マリア大聖堂(ベルギー・アントウェルペン

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縦421cmの大作である。センターパネルの両翼に観音扉があってそこにも描かれている。「キリストの昇架」・「聖母被昇天」も同じ聖堂にあって、高い評価を得ているという。祭壇画として中央に描かれているのは磔刑後のイエス・キリストを関係者たちが梯子や白布を使って丁重に降ろす場面。手前の赤い服の男が聖ヨハネ、左の手を伸ばした青い服の女が聖母マリアらしい。

動きのあるポーズで良く描き込まれた人体、迫力のある絵である。力強い男たちの腕、涙を流す女たちの表情、明と暗の劇的表現、ルーベンスバロック美術の代表にふさわしい画家である。ネロ少年も見たがったわけだ。

ただこの絵にも不可思議な点がたくさんあったのでそれを述べる。

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元絵にぼかし・ノイズ等の画質調整をした。これは何だ! 歌川国芳の絵のような骸骨が表れたではないか(上図右イラスト)。

これは一種の「寄せ絵」だろう。いくつもの人体を組み合わせて図形化している。ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂天井画」とも同様な手法である。左右の男の腕またはその影を利用して骸骨の眼を表している。鼻はイエスの腕、口は手前の女の腕で作っている。頭の上に角のような物まであって、いわゆる悪魔そのものの絵である。

キリスト教はやっぱり悪魔教であるに違いない事をルーベンスはこんな隠し絵で示している。これをだれも気付かないことにほくそえんでいたに違いない。

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扉の左側(上図左)に描かれているのは、はっきりとは判別できないが、巨大な蛇の正面顔がいくつも並んでいる。描かれた人物の頭に喰い付いているようである。右側(上図右)にも、上方から降りてきた巨大な蛇が人物の頭に喰らい付いている。坊さんの右肩のあたりに特にでかいのが張り付いていて、そいつが右の青い服の男の手を呑み込もうとしている。こちらは普通に蛇神(=悪魔)を隠し絵にしている。

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女たちは皆若く、つやのある肌に涙がキレイな球になって流れている。

しかし皆口から何か変な物を出している。聖母(左)の口から出ているのは、異様に細い舌? いや小さな蛇ではないか。イエスの足を持つ女(真ん中)もよく見ると下唇の所にミミズのような物が見え、血を吐いているようにも見える。左手前の女(右)の口には一番はっきりと赤い小蛇が見えているが、血だまりにも見えなくはない。

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三人の女たちは皆大きな蛇に喰い付かれている。向こう側の聖母は頭・肩から背中・尻にかけて大蛇が乗っかていて、そのために輪郭線が実際よりも外側になっている。右手の形も何かおかしい。肩に張り付いた大蛇に喰いちぎられて、その千切れた腕を咥えて持ち上げられているのではないか。両足は見えないが衣が画面左に流れているので、聖母自身下半身は大蛇ではないか。

聖母の手前の女、足が・・・・無い。巨大な青い蛇に腹の所まで呑まれているらしい。それともこの女自体が蛇女なのか。この女も右手がおかしい。上腕で切れて左へずれている。切断されたらしく肘の上が真っ赤である。

エスの足を持つ赤い服の女の尻が異様に大きい。ここには大蛇が張り付いているのか。左足先が千切れている。左の女の手の下に非常に暗い不明確な所があるが、手の下にいる大蛇の口に無理やり引きちぎられた断面らしき部分がある。この女の赤い服も画面左方に流れているので、こいつも蛇女かもしれない。

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赤い服の女の左足先があるべき部分。左の女の手の下に大蛇が大口を開けていてそれに喰われたと思える。

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イエス・キリスト。祭壇画に描かれた神の子イエスの表現にしてはあまりにもリアルすぎてどうかと思う。もう少し拝むにふさわしい、美化された物であっても良いのではないか。ここの聖堂ではこんな死体そのもののグロテスクな絵を見ながら皆礼拝しているのだ。

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十字架の上に登った若い男は下半身を大蛇に呑まれている(上図左)。その下の老人は両腕に大蛇が喰い付いている。左手に付いた大蛇がイエスの頭を齧っている。背後の背景部分に巨大な蛇神が睨んでいる。右上の老人は首の所まで服のふりをした大蛇に喰われている(上図右)。

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画面右の梯子に乗っている男はどうなっているのか分かりにくい。両肩を青い大蛇に喰い付かれている。鼻や口から血を流しているように見える。後方の暗がりにいる大蛇に頭をぱっくりと咥えられている。

そして左足。この足先は蛇の顔になっている(上図右)。左足はこの男の本当の足ではない。男の腹のあたり、聖ヨハネの右わきの下に隠れる部分の表現があやしい。

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その左足は切断されて、衣服に偽装した大蛇に咥えられて不自然な位置にあるのであろう。左手は後ろの梯子を掴んでいるのではなくて、背景に潜んだ大蛇に喰い付かれ持っていかれている。

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腹から赤い服が出っ張ていて下方の暗い部分に繋がっているから、こいつも蛇の仲間か。左目が口を開いた蛇の横顔で出来ている。目の前にあるのはイエスの左足だが、少し長すぎる。この足も切れたのを大蛇が繋いでいるらしい。

ヨハネが見ているのは蛇仲間の三人の女の方である。

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画面右下手前に描かれた物。いばらの冠と皿、十字架に貼られていた紙、その紙を抑える石。何の意味があるのかさんざん考えた。ラテン語が読めないし、皿の意味も知らないし・・・・と、重石をよく見たら・・・・人の頭である。仰向けに寝かされた頭(上図右)。眼も口も閉じている。大きさから言って胎児くらいか。何だろう? 一番手前には作者のメッセージが込められているはずである。全体的に見える骸骨はこの胎児の頭を見ているようだし・・・・。f:id:curlchigasaki:20181014183543j:plain

扉絵の左側には妊婦が描かれている。上流階級らしい婦人である。扉絵の右側には教会の坊さんに抱かれる赤ん坊が描かれている。

共に背後の人物の表情が意味深である。何だろう? ダヴィンチコード並みの難解さである。キリスト教の教義を考え合わせると分からなくなる。

単に死と生を描いただけなのか。前回の「ヴィーナスの戦車」の様に、蛇神(悪魔)が人間を喰って消費する、人間は女たちを妊娠させていくらでも産めばよい・・・といった事を示唆しているのか。