名画の隠し絵

美術館にある名画には隠し絵がある。それは巨大な蛇の形をしており、人間を喰う姿が絵になっている。

青木繫「黄泉比良坂」 日本神話の一場面に描き込んだ食人画

西洋絵画の鑑賞が比較的好きだったのでそればかりになりがちだが、たまに日本人の描いた絵画も見る。

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青木繫「黄泉比良坂(よもつひらさか)」1903年 東京芸術大学美術館

夭折の天才画家青木繫21歳の時の作品だという。「古事記」の中のイザナギイザナミの物語の一場面。死後黄泉の国に行ってしまったイザナミを追ってイザナギが来た。女神イザナミは決して自分を見ないでほしいと言ったが、男神イザナギはその場所を明るくして姿を見てしまう。腐乱した姿を見られたイザナミは怒ってイザナギを追いかける。鬼女ヨモツシコメ達を使って追いかける。絵はその場面を描いている。

画面上に逃げるイザナギ。追いかける女たちが5~6人いる(どれがイザナミか分からないが)。おのれの醜い姿を見られて、幽鬼のようなゾンビの様な格好で追いかける鬼女たちには女の怨念・執念が表されていて恐ろしい・・・・と一般的には解釈されるのだろう。しかしそんな表面的画題とは別に本当の画題は、やはり例によって神を装う鬼蛇どもに人間が喰われている場面である。

登場人物を順に見て行く。

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画面中央上方の一番目立つ女。裸で髪が尻まで届くほど長い。両腕を前に上げてイザナギに待てと言っているようである。その両腕が異様に長い。これは画面全体を考えて美的に判断して長くしたとかではなく、セザンヌの「赤いチョッキの少年」の腕と同様の表現である。すなわちこの腕は切断されていて、肩に張り付いた大蛇が咥えているので大蛇の分だけ腕が長く見えるのである(上図右イラスト)。

この女は体も髪も大蛇で形作られている。女の外側にはさらに大きな蛇がたくさんいて、女の体に齧りついている。

西洋絵画と全く変わりがない食人画である。女の周りの巨大な蛇は大きく見るか小さく見るかでまた違った物に見える。

その下の後ろ向きの女は両腕を大蛇に呑まれている。顔のあたりも巨大な蛇に喰い付かれている。

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坂の上に逃げるイザナギ。体を形作る大蛇が所々見える(右イラストの様に)。肩や頭に蛇が貼りついている。それを手で払いのけようとしているかのようだ。両足先は地面にいる大蛇に咥えられている。さらに周りには大小さまざまな蛇どもがこの体を求めて集まって来ている。餌に集まる池の鯉の様に。

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画面中央下のこの女、眼が白目になっていて顔がごつごつしている。尻のあたりで皮膚が破れて血か内臓が下にこぼれている。たぶんこの女が腐乱したイザナミではないかと思う。両腕を上に上げているようにも見えるがよく見るとこの女の右手は下に下がっていてこぼれ落ちる物を抑えている様子である。だから顔の上にある腕のような物はこの女の物ではなく、別の者のパーツであろう。すぐ上の女の右足とするのも変だ。分かりにくい。腐乱したこの女も周りの巨大な蛇に喰い付かれている。

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画面右下の女。何故かイザナギを追わず、こちらを向いている。女の顔を絵を見る人に見せるために便宜上こちらを向かせているのか。しかし物語に関係なく、この女も巨大な蛇どもに襲われて単に逃げまどっていると考えれば納得できる。後ろの腐乱女の尻の破れから出て来た物が今度は大蛇の頭に見える。女の右手をしっかりと咥えている。頭も蛇に喰われてその後ろにもその蛇を咥える奴がいる。

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画面左の女。腹から下を巨大な蛇に呑まれているようだ。両手はドガの一連の「踊り子」の絵の様に、大蛇に噛み付かれて持っていかれている。

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画面右の女。仰向けになっているが、横向きの顔と胸の一部しか見えない。その胸の所にいる大蛇が隣の女の右腕を呑み、手前の大蛇が腐乱女の左腕を呑んでいる。この女のは・・・・腐乱女の顔の上にある腕のような物はこの女の切断された腕、または足か。それをデカい蛇の顔が大口を開けて喰っている。この女の体はバラバラになって人間の形を成してない。

 

青木繫は僕は10代のころ知ってあこがれを持ったものだったが、こんな恐ろしい隠し画題があった事に気付いた。彼もやはり鬼や悪魔・神を装う奴らの手下であったか。