ゴーギャンの描くタヒチの火祭り 「Upa Upa (The Fire Dance)」 1891年 イスラエル美術館
火の周りで人々が踊りを踊っている。座って見物する人もいる。中央に大きくあるのは南国独特の樹だろうか。
この絵も神への生贄儀式の様子を描いてある。
画面真ん中の樹は、空から来た蛇神である。頭のふくらみ、眼の表現でそれと分かる。その口先には人間の顔らしき物が二つほど見える。座って火踊りを見ている人々にも蛇が張り付き、喰い付いている。樹に擬した巨大蛇以外にも黄・ピンク・緑色をした巨大蛇が上空から舞い降りて来て人間を襲っている。画面のどこもかしこも蛇であり、人間を襲うかもしくは別の蛇に喰い付いている。
画面右手奥の白い装束の女たちは、踊っているようにも見えるが実は巨大な蛇に襲われている。三人の女がはっきり見えるが、三人とも頭を蛇に咥え込まれており、下からも比較的小さな蛇に喰い付かれている。三人とも下半身の色が違っているのは、その色違いの部分が大蛇であって、下半身を呑まれている事を表しているのかもしれない。
右に黒い巨大蛇に噛み付かれ、体を持っていかれている人がいる。その手前には横倒しになった女がいて、これも頭や手を大蛇に噛まれている。
分かりにくいが、この画像の左の方にも巨大な蛇に喰われる人が描かれていると思う。既に着物をはぎ取られ、巨大蛇の鋭い牙で噛まれているように見える(上図イラスト左端の様に)。
全体図を明るくしてみると分かりやすい。右のイラストで黄色くしたのが生贄の人間たちである。既に喰われて人の形を失っている者・喰われている真っ最中の者・これから喰われる恐怖に怯える者が描かれている。物理的に人間より大きく強い蛇神には抵抗しても無駄だと諦めているか、それとも生まれてきた時から生贄となることが最高の喜びであると洗脳されて来たからなのか、誰も逆らって戦おうとはしていない。
ゴーギャン 「死霊は見ている」 1893~1894年 埼玉県近代美術館
この絵はゴーギャンの木版画集「ノア・ノア連作集」の中のひとつ。皿の上に乗った人肉料理にしか見えない。人間は蛇型爬虫類人の食糧である事をゴーギャンはこれでもかと言うほど露骨に見せてくる。
「The Fire Dance」に戻って、画面右に描かれているこの人物たちを見る。
手前の男女二人は肩を寄せ合い、その向こうの二人は蛇に下半身を呑まれて瀕死の女を男が抱き上げている。
人間はこんな悲しい運命を黙って受け入れるしかないのだろうか。
いや妻や恋人・友を想う愛だけが、この地球を支配している蛇型爬虫類人に打ち勝つ武器になるのだと思いたい。ゴーギャンも奴らの手下に違いないが、奴らに対抗する唯一の手段をこんな形で露呈しているかもしれない。冷血爬虫類である奴らには人間だけが持つ熱い愛の感情には、理解できないものとして畏敬を持ち、脅威をも感じているのかもしれない。