県の農業学校に入ったら農薬の教科書を渡された。県営農指導協議会発行の「県病害虫雑草防除指導指針」と言う本だ。農薬の事がまるで薬剤師の教科書を思わせるくらいに詳しく書かれている。虫メガネが必要になるくらい細かい字で750ページ余り、作物の病気・害虫にどの農薬が有効かが書いてある。
僕が今もっている農薬は絵に描いたくらいのものだが、教科書には相当な数の農薬が載っている。農業を始めるにはこんなに多くの薬の知識が必要なのかと気が遠くなる。
病害虫の予防薬・治療薬、それにそれらの混合剤もある。ほとんど知らない名前ばかりだ。
薬効をうたったような名前・それがよく効くことを名に冠したものは分かりやすい。
「フォース」・「ダントツ」・「ベストガード」・「トルネード」・「フェニックス」・「タフブロック」・「オンリーワン」・「ジャストミート」・「ダイマジン」・「ネビジン」・「ダブルストッパー」等だ。「ダイマジン」・「ネビジン」は多分(大魔神)・(根美人)だろう。「ネビジン」は土壌殺菌剤だそうだ。
ベタな名前もある。「ゴッツA」・「ダニサラバ」・「ネマモール」・「タチガレン」は(ごっつええ=関西弁?)・(ダニさらば)・(根守る)・(立ち枯れぬ)。
強力なことを訴えたいのだろうが、ちょっと危ない名前になってしまったものは「アニキ」(ヤクザか)・「コルト」(拳銃?)・「コテツ」(近藤勇の愛刀?)など。
どこかで聞いた名前になっているのは、「マッチ」・「ウララ」・「ダニエモン」・「ドキリン」・「嵐プリンス」・「マイコシールド」・「プロポーズ」など。
「ヨネポン」と言うのもある。
「クプラビットホルテ」に至っては舌を噛みそうな名前だ。
人間の病気に対して使われる市販薬も変な名前が多いが、作物の薬の名も変だ。
学校の実習に使われた物からひとつづつ覚えて行こう。